ギリシャ語で「新芽」を意味するアスパラガスは、一度植え付ければ10年以上成長を続ける多年草。冬に地上部の葉は枯れるが根は生きていて、春には新しい芽(若茎)を伸ばし、その芽を食用とします。江戸時代、観賞用に日本にもたらされ、大正時代から本格的な栽培が始まりました。
品種は少なく、グリーン・ミニ・ホワイトアスパラガスの3つはすべて同じ品種です。ミニアスパラガスはグリーンアスパラガスを若取りした物で、やわらかく甘みがあるのが特徴。
ホワイトアスパラガスは、芽が出る前に土寄せし、収穫まで光を当てずに育て白くした物です。
紫アスパラガスはこれらとは異なる品種で、アントシアニンと言う色素を多く含むため紫色をしています。

- 温暖地沖縄・九州・四国
- 中間地中国・近畿・中部・関東
- 寒冷地北陸・東北・北海道
※上記の地域区分は目安としてお考え下さい。
標高や地形、年次変動によって同一地域でも気候条件が変動します。
お住まいの地域に合わせて栽培して下さい。
アスパラガスを作るのに必要な資材
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苦土石灰 -
完熟牛ふん堆肥 -
化成肥料
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アスパラガスを育てるコツ
質の良い若茎をたくさん収穫するには、根株の充実が欠かせません。春から秋はたっぷりと日に当てて光合成を盛んにし、根に養分を蓄積させましょう。
収穫は期間を決めて行ない、それ以降は茎が出ていてもそのまま残して翌年に備えます。収穫量が最も多くなるのは、植え付けから4~5年後。一度植え付ければそのまま約10年は栽培できるので、他の野菜と栽培する場合は、植え付け場所をよく検討しましょう。
アスパラガスの植え付け
栽培の始め方は、タネ、苗、根株の3通りあり、若茎を収穫できるまでの年数が違います。初心者の方には、2~3年かけて栽培された根株がおすすめ。しっかりとした根ができあがっているため、植え付けた翌年の春には収穫できるのが特徴。タネから育てると収穫まで3~4年、苗からだと2~3年かかります。雌株と雄株があり、雄株の方が多く収穫できると言われていますが、事前に雌雄を判別することはできません。
根株の植え付けは、2月下旬から4月中旬が適期です。植え付けの1週間前までに苦土石灰150~200g/㎡をまいて土作りを行ないましょう。植え付け当日は栽培スペースの中央に深さ20~30cm、幅15cmの溝を掘り、堆肥3kg/㎡、化成肥料100g/㎡をまきます。根株の「成長点(芽が出るところ)」を基準に、株間を30~40cm空けて向きを揃えて置き、溝を埋め戻すように土をかぶせて高さ5~10cmの畝を立て、たっぷり水をやりましょう。
アスパラガスの管理
- 追肥
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1年目は植え付けの1ヵ月後から10月まで、月に1回のペースで化成肥料30g/㎡を追肥しましょう。2年目以降は3月から追肥を始め、同じく10月まで続けます。追肥後は、肥料と土を軽く混ぜ合わせて株もとに土寄せしましょう。
- 支柱立て
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アスパラガスは、茎が葉のように変化した「擬葉」で光合成を行ないます。「擬葉」は風に弱いため、草丈が伸びてきたら倒伏防止の支柱を立てましょう。畝の周囲に長さ150cmの支柱を50~60cm間隔で立て、地上30cmのところから30cm間隔で2~3段のひもを張ります。
- 冬越し・お礼肥
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寒さで枝葉が枯れたら地際ですべて刈り取り、堆肥3~4kg/㎡を株が隠れるようにまいて土寄せしましょう。このように、来年に備えて追肥することを「お礼肥」と言います。
アスパラガスの収穫
若茎の長さが30cmくらいになったら収穫時期。地際から手で折り取るか、ハサミで切り取ります。
2年目は4~5月、3年目以降は4~6月を収穫期間の目安とし、期間を過ぎたら収穫を控えましょう。「擬葉」を伸ばして根株を充実させ、翌年の収穫に備えます。

アスパラガスの病害虫
- ジュウシホシクビナガハムシ
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アスパラガス特有の害虫で、赤字に黒い斑点が散ったナナホシテントウのような見た目が特徴。4~10月に活動し、成虫・幼虫ともに茎を食害するため、見つけたら捕殺します。枝葉の中に隠れていることもあるので、枯れた枝を刈り取ったらその場に放置せず、確実に処分しましょう。
- ヨトウムシ
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夜行性で日中は株もとに潜み、夜間に葉を食害します。ひどい場合には葉脈を残して葉を食べ尽くしてしまうこともあるため、見つけ次第捕殺しましょう。発生前に不織布などで株を覆うことでも対策できます。
- 茎枯病
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梅雨時や秋雨時に多く発生するウイルス病。初めは茎に水が染み込んだような赤褐色の斑点ができ、さらに拡大して多数の小黒点が現れます。下枝を整理して風通しをよくする他、敷きワラなどをして雨による泥のはね上げを防止することで防除可能。発病した茎は地際部から切り取って処分しましょう。
栄養価
たんぱく質と糖質に加え、抗酸化作用のあるβ-カロテンや、細胞の形成に必要な葉酸といったビタミン類など、多くの栄養素を含みます。利尿作用があり、体内のバランスを整えてくれるカリウムも豊富です。注目は、アミノ酸の一種・アスパラギン酸。スタミナ増進や疲労回復効果があるとされ、栄養ドリンクなどによく使用されています。他に、有害物質を排出したり新陳代謝を促したりする作用もあることから、美容にも効果的。
また、穂先に含まれるルチンはポリフェノールの一種で、毛細血管を強くして高血圧予防に効果があると言われています。味わいや食感は好みですが、栄養価の高さで比べると、グリーンアスパラガスの方がホワイトアスパラガスに勝ります。