枝豆 果菜類

枝豆さやから飛び出るほど丸々と太り、コクと旨みがたっぷりに育った枝豆は、ビールのお供に最適。家庭菜園でもお馴染みの夏野菜ですが、実は大豆を未成熟なうちに収穫した物ということは、あまり知られていません。しかも、日本が原産地である中国が大豆として食べていた物を、緑色の状態で食用にしたのが始まりなのです。なお、温暖多湿な気候を好むため日本での栽培に適しています。

日本の枝豆の品種は大きく分けて「白毛豆」、「茶豆」、「黒豆」の3種類で、この中でも、家庭で見かけることが多いのは「白毛豆(青豆)」。この豆は、国内で最も流通しており、癖のない味が特徴です。

栽培カレンダー

時期の色分け:種蒔き等の時期追肥の時期収穫の時期
枝豆栽培カレンダー
地域の色分けについて
温暖地沖縄・九州・四国
中間地中国・近畿・中部・関東
寒冷地北陸・東北・北海道

上記の地域区分は目安としてお考え下さい。
標高や地形、年次変動によって同一地域でも気候条件が変動します。
お住まいの地域に合わせて栽培して下さい。

枝豆を作るのに必要な資材
  • 苦土石灰
    苦土石灰
  • 完熟牛ふん堆肥
    完熟牛ふん堆肥
  • 化成肥料
    化成肥料
  • 不織布
    不織布
  • 黒マルチ(農業用フィルム)
    黒マルチ
    (農業用フィルム)
  • ポリポット
    ポリポット

枝豆を育てるコツ

枝豆は根に共生する根粒菌(枝豆の株へ窒素分を供給している菌)のおかげで、少ない窒素肥料で育ちます。肥料が多すぎると、茎葉ばかりが育って実付きが悪いつるボケになってしまうため、元肥の化成肥料は80~120g/㎡にしましょう。

また、直まきの場合はまいた種を鳥に食べられないように、ポリポットで育苗する、不織布で全体を覆う、防虫ネットをトンネル状にかける、などの工夫が必要です。

枝豆の植え付け・直播き

4月下旬~5月下旬、直径9cm(3号)のポリポットに元肥入りの培養土を入れ、深さ1.5~2cmほどのまき穴を2ヵ所あけ、種を1粒ずつまきます。土をかぶせてもとに戻したら、手のひらで軽く押さえ、水をたっぷりかけましょう。約2週間後、「初生葉(双葉の次に出る葉)」が開いた頃が、植え付けのタイミングです。

植え付けに大切なのは土作りで、その最適な時期は、植え付けの1週間前。
苦土石灰150~200g/㎡、堆肥2kg/㎡、化成肥料50g/㎡を土にまき、畝を立てます。畝の表面を平らにならして黒マルチ農業用フィルムを張り、株間30cmの間隔で深さ1cmの植え穴をあけましょう。ジョウロで穴に水を注ぎ、水が引いたら1ヵ所に2つの苗を入れる2本立て(2本の苗の根が競い合って地中の深くまで伸びるため、水分を吸収しやすくなる)にして植え付け、植え付け後もたっぷりと水をまきます。

直播きの場合は、あらかじめ畝に水をまいて半乾きの状態にしておき、まき穴1ヵ所につき3粒の種をまきます。枝豆は過剰に水分を摂取すると根が腐ってしまうので、なるべく半乾きの状態で発芽させるのが理想です。また、鳥害対策には不織布や防虫ネットが効果的です。

枝豆の管理

間引き

直植えの場合、「初生葉」が開いたら鳥よけのための不織布を外し、ひとつのまき穴につき苗が2本になるよう間引きます。

間引き
追 肥

枝豆は肥料切れすると、実の成長が止まり、さや色が悪くなります。
花が咲き始めた頃に、2~3g/㎡の窒素成分を追肥して、それから半月後にもう一度、追肥しましょう。

追肥

枝豆の収穫

枝豆は株の下から上へと成熟していくため、下部のさやは詰まっていても、上部はまだ収穫適期の前という場合があります。面倒でも、収穫適期のさやをひとつずつ摘み取ることが、食べ頃の枝豆を大量に収穫するための重要工程。

なお、全体の7割程度のさやが太っていたら、株ごと引き抜いて収穫します。収穫直後から鮮度が落ち始めるので、手早く塩茹でにすれば、新鮮な枝豆を頂くことができます。

枝豆の病害虫

カメムシ

花が咲き始めると発生し、花やさやの中に細い口を差し込んで汁を吸い取る害虫。被害にあった花はさやができなくなったり、さやが大きくなっても豆が太らなかったりします。殺虫剤の散布や、防虫ネットなどで被害を防ぎましょう。

マメシンクイガ

マメシンクイガは蛾の仲間ですが、枝豆に害を及ぼすのはその幼虫。この害虫はさやの中の豆を食べ、食べられた部分は褐色になります。開花が終わり、さやができ始めるまでに殺虫剤を散布するか、防虫ネットで覆って害虫の侵入を防ぎましょう。

マメシンクイガ
アブラムシ

新芽や葉に集団で寄生して吸汁する害虫。ウイルス病を媒介する場合もあります。水をかけて洗い流すか、発生初期に殺虫殺菌剤や殺虫剤を散布して駆除しましょう。発生前に不織布などで株を覆うことでも対策できます。

栄養価

大豆は「畑の肉」と称えられるほど、高タンパク質でヘルシーな豆。その未熟豆である枝豆も栄養はたっぷりで、タンパク質や脂質、鉄分、ビタミン類や食物繊維、カルシウム、鉄分など、様々な成分が含まれています。糖質・脂質・タンパク質をエネルギーに変えるビタミンB1・B2が豊富なことから、疲労回復に効果を発揮。さらに枝豆は、大豆からはあまり摂取できないビタミンCやβ-カロテンも多く含んだ野菜です。

また、枝豆のタンパク質に含まれるアミノ酸の一種であるメチオニンは、ビタミンB1やビタミンCとともにアルコール分解を助け、肝臓の負担を軽減。これが理由で、枝豆は昔からビールのつまみとして好まれてきました。

料理レシピを見る