キャベツ 葉菜類

キャベツは料理の付け合せなどに欠かせない、食卓でもおなじみの野菜。スーパーの店頭では、季節を問わず販売されています。これは品種改良によって、周年栽培(季節に関係なく、年間を通じて行なう栽培方法)が可能になったためです。栽培方法には春採り、初夏採り、秋冬採りなどがあります。なかでも秋冬採りは、病害虫の被害が少なくて作りやすいため園芸ではおすすめの栽培方法です。

今回は、苗を購入して植え付ける「移植栽培」の方法をご紹介します。タイミングが合えば、栽培が簡単な秋冬採りからキャベツ作りを始めてみましょう。

栽培カレンダー

時期の色分け:植え付けの時期追肥の時期収穫の時期
キャベツの栽培カレンダー
地域の色分けについて
温暖地沖縄・九州・四国
中間地中国・近畿・中部・関東
寒冷地北陸・東北・北海道

上記の地域区分は目安としてお考え下さい。
標高や地形、年次変動によって同一地域でも気候条件が変動します。
お住まいの地域に合わせて栽培して下さい。

キャベツを作るのに必要な資材
  • 苦土石灰
    苦土石灰
  • 完熟牛ふん堆肥
    完熟牛ふん堆肥
  • 化成肥料
    化成肥料
  • 防虫ネット
    防虫ネット

キャベツを育てるコツ

植え付けが早すぎると病害虫の被害を受けやすいので、適期を見定め植え付けること。生育初期は防虫ネットをかけて、害虫対策を徹底します。その後は定期的に追肥をし、結球(葉が球状になること)前までに大きな株に育てるようにしましょう。

また、春採り栽培で注意したいのが「とう立ち」。この現象は低温が続いたあとに高温になると発生し、結球しなかったり、実の品質が悪化したりすることです。対策は、「とう立ち」しにくい品種を選ぶ、小さい苗で冬越しをさせる、寒さを防ぐトンネルの中で育てる、といった方法があります。

キャベツの植え付け

植え付けの2週間前に、100~150g/㎡の苦土石灰(くどせっかい)を土に混ぜ、よく耕しておきましょう。植え付け1週間前には、幅約90cm、高さ約10cmの畝を作り、その中央に深さ約20cmの溝を掘って、堆肥2㎏/㎡、化成肥料100g/㎡をまいて埋め戻します。これは「溝施肥(みぞせひ)」と呼ばれる方法。穴や溝の底に肥料を入れることで、効果がより高くなります。

植え付け当日、株間40~45cmで植え穴(ポットの植え穴よりも少し大きめで)を空けて水を注ぎ、水が引いたらポットから苗を植え替えて、土を埋め戻して株元を軽く手で押さえましょう。ハス口を付けたジョウロで、株の周囲にたっぷりと水を与えます。

キャベツの管理

防虫ネット

害虫対策として、苗の植え付け直後に網目が1mm程度の防虫ネットをかけます。まずは畝をまたぐように、トンネル用の支柱を50~60cm間隔で立て、防虫ネットの両端を留め具で固定し、ネットの裾に土をかぶせ、隙間を作らないことが重要。仕上げに、防虫ネットの上からも支柱を渡して押さえましょう。

防虫ネット
追肥・土寄せ

植え付けの2週間後に30g/㎡の化成肥料を施します。その後も2週間に1度、同様に追肥を行ないましょう。なお、追肥後は、クワを使って土寄せをします。このとき注意したいのが、葉を傷つけないようにすること。葉の下から根元に丁寧に土を盛ります。

水やり

根が活着(接ぎ木などの移植をした植物が根付いて育つこと)するまでの約1週間はたっぷりと水を与えましょう。活着後のキャベツは、水やりの回数が多いと根腐病など病気が発生しやすくなるため、水を与えるのは土が乾いたときだけに減らします。

キャベツの収穫

収穫時期は、結球部分を手で押して確かめます。
固く締まっていたら採りごろ。
外葉を1~2枚残した状態で、付け根を包丁で切り取ります。
収穫が遅くなると球が裂けてしまうことがあるので、タイミングを逃さないようにしましょう。

キャベツ

キャベツの病害虫

黒腐(くろぐされ)病

細菌によって引き起こされる病気で、風や雨などにより植物に付着したあとに感染。葉の縁近くから青白いV字形の病斑が出始め、やがて黄褐色になって広がります。対策としては、風通しと水はけを良くし、施肥を適正に行なうこと。また発病株は抜き取り、処分します。発生前から薬剤を予防散布するのも有効です。

軟腐(なんぷ)病

細菌が原因で、主に結球期に起こる病気。発病すると茎の生えぎわに暗褐色の病斑が出て、地上部はしおれ、地際も腐って溶けたようになります。窒素成分が過剰だと発生傾向が高くなる他、折れた葉や害虫による傷からも感染します。対策は、侵入口となる傷を作らないよう密植を避けたり、傷口ができても乾きやすい天気の良い日に芽かきなどの作業を行なったりすることです。

タマナギンウワバ

蛾の仲間で、食害するのは幼虫です。葉の裏側にいて、シャクトリムシのような歩行が特徴。成長すると食害量が増大し、葉に穴を開けることもあります。対策で薬剤を使う場合は、葉裏にもかかるよう丁寧に散布しましょう。

アオムシ

モンシロチョウの幼虫。食害量が多く、葉の軸だけを残して丸坊主にしてしまうこともあります。対策には、畝の両側にレタス類を栽培して成虫の産卵を抑制する他、防虫ネットも有効です。

栄養価

秋冬野菜の定番・キャベツは、使い勝手が良く、様々な調理にアレンジできる万能野菜。葉は甘みがあって、生のままでも加熱してもおいしく頂けます。そんなキャベツは栄養価が豊富。骨や歯を強くするカルシウム、老化防止に役立つカロテン、胃腸に良いとされるビタミンUなどが含まれています。
その中でも注目したいのがビタミンC。この成分は免疫力を高める効果があり、風邪予防などに効果が期待できます。風邪をひきやすい冬に抵抗力を高めたい人は、キャベツを食べて病気に負けない体を作りましょう。

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