キュウリの原産地はインド北西のヒマラヤ山麓地帯。西アジアでは3,000年以上前から栽培されていたという、古い歴史を持つ野菜です。日本には10世紀頃に伝わってきました。それ以来、キュウリは日本の食生活に広く浸透。おやつや酒のつまみ、夏の暑気払いなどに用いられて、多くの食卓のメニューとなってきました。その人気は、日本国内でトップクラスになっている消費量が裏付けています。もちろん園芸でもキュウリは人気が高く、家庭菜園で作る定番の野菜のひとつ。今回は移植栽培(購入した苗から育てる)を紹介します。収穫時期の夏に食べるキュウリは、清涼感たっぷりで暑さを忘れるほどのおいしさです。

- 温暖地沖縄・九州・四国
- 中間地中国・近畿・中部・関東
- 寒冷地北陸・東北・北海道
※上記の地域区分は目安としてお考え下さい。
標高や地形、年次変動によって同一地域でも気候条件が変動します。
お住まいの地域に合わせて栽培して下さい。
キュウリを作るのに必要な資材
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苦土石灰 -
完熟牛ふん堆肥 -
化成肥料
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黒マルチ
(農業用フィルム) -
支柱と麻ひも
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キュウリを育てるコツ
キュウリを作る際は連作障害に注意が必要です。
前年にウリ科の野菜(キュウリ、ゴーヤ、スイカ、カボチャなど)を植え付けた場所で、キュウリを育てるのは避けましょう。
このような場合は、1~2年の間隔を空けるか、接木苗(病害虫や連作障害に強い苗)を植えるなどの方法があります。
キュウリの植え付け
植え付けの2週間前に、150~200g/㎡の苦土石灰を土に混ぜ、よく耕しておきます。
1週間前になったら、完熟牛糞堆肥3~4kg/㎡、化成肥料350g/㎡をまいて耕しましょう。
植え付け当日は、幅約60cmの畝を立てて、マルチ用のフィルターを張り、株間約50cmの間隔になるように植え穴を開けます。
植え穴にたっぷり水を注ぎ、水が引いたらポットの苗を植え替え。植え穴を埋め戻して、株元を軽く押さえます。
最後に植え付けた位置から少し離れた場所に、支柱を合掌式(2本の支柱を斜めに交差させるように挿し、その上に支柱を1本渡して固定させる方法)に立てておきましょう。
キュウリの管理
- 誘 引
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キュウリの苗が20~30cmに育ったときが、誘引のタイミングです。最初に伸びたつるを、支柱にひもでゆるく結び付けましょう。あとは、自然に支柱に巻きついて成長していきます。
- 整 枝
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つるが伸びてきたら、健康に育つように整枝をしましょう。株元から5~6節(約30cmの高さ)までのわき芽や雌花はすべてかき取ります。こうすると、株の生育が良くなって実付きが良くなります。
- 追 肥
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植え付けから2週間後に最初の追肥を開始して、それから2週間おきに計3回の追肥を行ないましょう。追肥をするときは、マルチのフィルターをめくり、畝の両隅に溝を作ってそこに化成肥料60~70g/㎡を入れます。作業が終わったら、土を埋め戻してマルチを張り直します。
- 水やり
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キュウリは乾燥に弱いため、水切れには注意が必要。水やりのコツは、回数は少なめにする代わりに、一度にあげる水の量を多めにすることです。なお、キュウリの果実は夜間に太るので、水やりは夕方以降にしましょう。
- 除 草
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雑草や枯れ葉は病害虫の温床になりやすいため、見つけたら取り除きましょう。マルチを張ると、太陽熱で消毒され雑草や害虫の繁殖を未然に防止できます。
キュウリの収穫
一番果(最初に付く果実)、二番果は小さい(目安は長さ8cm)うちに採ると、その後の実付きが良くなります。
三番果からは、長さ18~20cmになった物から収穫。
キュウリの実は一日で3センチも伸びるので、大きくなり過ぎて収穫適期を見逃さないように気を付けましょう。

キュウリの病害虫
- うどんこ病
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うどん粉をまいたような白色のカビが葉や茎に円形に生え、次第に全体に広がります。光合成が阻害される他、葉の養分が吸収されて生育不良になり、花が咲かない、果実が肥大しないなどの害があるため、発生初期に薬剤を散布して対策しましょう。
また、窒素過多がうどんこ病の原因になるので、肥料を与えるときは注意が必要です。
- べと病
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葉に淡黄色をした小さな斑点ができ、放っておくと葉裏にカビが生えます。これは、高温期に発生し多湿で勢いを増す病気です。農薬で対策する場合は、葉の裏表にまんべんなく散布しましょう。
- つる割病
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つるが日中は萎れて、夜間に戻るという状態を繰り返したらつる割病の初期症状です。症状が進むと、株全体が生気を失って枯れてしまうことも。ウリ科植物の連作を避ける、土壌消毒剤をまくなどの方法で、予防ができます。
- ウリハムシ
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ウリハムシの幼虫は黄白色のウジ虫で、土中で根を食害するため葉が蝕まれていることがなかなか分かりません。成虫になると葉や果実に寄生して食害するようになります。防虫ネットをかけるなどして対策をしましょう。
栄養価
キュウリは全体の90%以上が水分で、栄養価は他の野菜と比べると高くありません。それでも日頃から食べる機会が多いので、その栄養価は知っておくとお得。
キュウリには、β-カロテン、ビタミンE、ビタミンB1、ナイアシン、カリウムなど、豊富な栄養価が含まれています。その中でも、注目したいのはβ-カロテンとカリウム。β-カロテンはがんの予防、カリウムは高血圧の抑制と、共に生活習慣病に効果があると言われています。
つい不摂生な生活を送ってしまい健康が不安という人は、キュウリを食べて生活習慣病を予防しておきましょう。