小カブ 根菜類

日本書紀にも記述のあるカブは、古い歴史を持つ野菜。各地で開発された様々な品種がありますが、代表的なのが小カブです。直径5~6cmと小ぶりで、大カブに比べるとサイズは3分の1程度。漬物との相性が良く、浅漬けは家庭料理の定番です。

また、小さいことから栽培期間が短く、手間もそれほどかからないため、園芸初心者の方におすすめ。 栽培は主に、春まきと秋まきの年2回です。涼しい気候に向くため、秋まきで育てるとより簡単に作れます。

栽培カレンダー

時期の色分け:種蒔きの時期追肥の時期収穫の時期
小カブの栽培カレンダー
地域の色分けについて
温暖地沖縄・九州・四国
中間地中国・近畿・中部・関東
寒冷地北陸・東北・北海道

上記の地域区分は目安としてお考え下さい。
標高や地形、年次変動によって同一地域でも気候条件が変動します。
お住まいの地域に合わせて栽培して下さい。

小カブを作るのに必要な資材
  • 苦土石灰
    苦土石灰
  • 完熟牛ふん堆肥
    完熟牛ふん堆肥
  • 化成肥料
    化成肥料
  • 防虫ネット
    防虫ネット
  • トンネル用支柱
    トンネル用支柱

小カブを育てるコツ

土作りの際には、地中から石をしっかりと取り除いておくこと。
これは、成長期に根が地中で石に当たると、形が悪くなるためです。
また、種蒔き後は、畝全体を防虫ネットで覆って害虫対策をしましょう。

小カブの種蒔き

種蒔きの一週間前、畝を作る予定の場所に、100~150g/㎡の苦土石灰をまいて耕しておきます。
種蒔き当日は、2kg/㎡の堆肥、120g/㎡の化成肥料をまいてよく耕し、幅60cm、高さ10cmほどの畝を立てましょう。種蒔きはすじまきという方法で行ないます。

まず深さ1cmのまき溝を作り、その隣に30cmの間隔を空けて同じ溝をさらに作り、計2本のまき溝を製作。そのまき溝に種を1cmの間隔で置き、溝の両側の土で埋め戻して、手のひらで軽く押さえましょう。
最後にまき溝全体にたっぷりと水を与えれば、作業は完了です。

小カブの管理

防虫ネット

種蒔き直後から、害虫対策の防虫ネットを設置します。まずは、弓なり型の支柱を、畝をまたぐように50~60cmの間隔で立て、防虫ネットで覆いましょう。ネットの両端をまとめて留め具で固定し、隙間ができないように土をかぶせます。さらに、支柱をネットの上からも押さえつけるようにして渡せば完成です。

間引き

間引きは収穫までに計3回行ない、根をしっかりと肥大させます。作業の際は、株間の距離がポイント。本葉1~2枚の頃に株間を3cm、本葉が3~4枚の頃に株間を6cm、本葉が5~6枚の頃に株間を12cmまで広げるように間引きます。なお、間引き後は株元への土寄せを忘れずに行ないましょう。

追 肥

2回目の間引き後、まき溝の間に30g/㎡の化成肥料をまきます。3回目の間引き後も、同様に追肥を行ないましょう。

土寄せ

小カブは土からせり上がるようにして育つため、根が安定するようにしっかりと土寄せするのが重要。1回目の間引き後は、残した株がぐらつかないよう、周囲の土を寄せて支えます。2回目と3回目の間引き、追肥後は、クワなどで肥料と土を混ぜて株の根元に寄せましょう。

小カブの収穫

小カブの収穫までの日数は45~55日で、地際の根の直径が5~6cmになったら収穫適期です。
株元の近くの茎をまとめて持ち、真上に引き抜いて収穫しましょう。
収穫が遅れると、根の表面が割れる、内面が割れて空洞ができる、などの原因になるので注意が必要です。

コカブ

小カブの病害虫

白斑(はくはん)病

最初は葉に白い斑紋が生じ、症状が進むと株全体が黄変し、枯れてしまいます。低温多雨の年の秋に発生率が上昇。発病を減らすには、輪作が効果的です。輪作は畑の栄養バランスが偏らないように保ち、病原菌を抑制する効果があります。また、薬剤を使う場合は、発生時に葉全体にかかるよう散布します。

カブラハバチ

カブラハバチの幼虫は、真っ黒なイモムシのような外見で、アブラナ科の野菜を食害します。この害虫の予防には、防虫ネットが有効。1mm目の防虫ネットをトンネルがけして、成虫が小カブに産卵するのを防ぎましょう。

エカキムシ

ハモグリバエの幼虫は、葉の表面に白い筋で落書きしたような食害のあとを残すことから、エカキムシと呼ばれています。小カブはこの害虫に食害されると、葉が枯れるなどの症状が現れて健康に育ちません。春先から秋まで食害を繰り返し、サナギの状態で土中越冬します。マラソン乳剤やオルトラン液剤を散布するのがおすすめです。

ニセダイコンアブラムシ

アブラナ科の野菜に被害を及ぼすアブラムシの仲間。体に薄く粉をまとっているのが特徴です。葉の裏側に集団で寄生して汁を吸う他、ウィルスを媒介するので必ず対策しましょう。この害虫は反射光を嫌うので、白色マルチを畝に張るのが有効です。

栄養価

小カブはぷっくり太った根はもちろんのこと、調理次第で葉もおいしく食べられる野菜です。根と葉には、それぞれ次のような栄養があります。
根の部分に多く含まれるのは、ジアスターゼやカリウムです。消化酵素であるジアスターゼは胃もたれや胸焼けを改善。カリウムはむくみの解消、高血圧の予防が期待できます。
一方、葉に多く含まれるのが、ビタミンC、カロテン、カルシウム。これらの栄養価はそれぞれ、ビタミンCは風邪の予防、カロテンは免疫力アップ、カルシウムは骨を丈夫にする、といった効果があります。
このように、小カブは根も葉も丸ごと味わえる栄養満点の野菜。漬物や汁物など様々な料理に活用してみましょう。

料理レシピを見る