春菊 葉菜類

特有の香りと風味を持つ春菊は、京料理によく使われます。そのため、和の野菜というイメージが強いのですが、原産地は日本ではありません。元々はトルコやギリシャなどの地中海沿岸で、観賞用として用いられたのが発祥です。日本には15世紀頃に伝わり、長い時間をかけて食生活に定着。今では冬になるとすき焼きなどの具として大活躍する、鍋物にはお馴染みの野菜となりました。

園芸で春菊を作れば、家庭で鍋料理をするのがもっと楽しみになります。また、生食にも適しているので、サラダなどにするのもおすすめです。今回紹介する摘み取り栽培は、長く収穫のできる育成方法です。摘み取り式の種を用意して、栽培に挑戦してみましょう。

栽培カレンダー

時期の色分け:植え付けの時期追肥の時期収穫の時期
春菊の栽培カレンダー
地域の色分けについて
温暖地沖縄・九州・四国
中間地中国・近畿・中部・関東
寒冷地北陸・東北・北海道

上記の地域区分は目安としてお考え下さい。
標高や地形、年次変動によって同一地域でも気候条件が変動します。
お住まいの地域に合わせて栽培して下さい。

春菊を作るのに必要な資材
  • 苦土石灰
    苦土石灰
  • 完熟牛ふん堆肥
    完熟牛ふん堆肥
  • 化成肥料
    化成肥料
  • 不織布
    不織布

春菊を育てるコツ

春菊の種は光を好んで発育する好光性種子(こうこうせいしゅし)なので、種蒔き後は土を薄く被せます。
また、春菊を冬に育てるときは霜に注意が必要。春菊の葉は霜にあたると、黒く枯れてしまいます。
霜対策として、11月下旬ごろから厚手のポリフィルムなどでトンネルがけをしましょう。

春菊の植え付け

植え付けの1週間前に、100~150g/㎡の苦土石灰を土に混ぜ、土壌の酸性度を5.5~7.0phに調整しておきます。

植え付け当日は堆肥2kg/㎡、化成肥料200g/㎡をまいてよく耕しましょう。深さ約1cmのまき溝を2本、列間30cm空けて作成。まき溝に種を約1cm間隔でまいて、少量の土で埋め戻して、手のひらで軽く押さえます。

なお、埋め戻しの土を薄くしているので、種には乾燥対策として、不織布をかけましょう。水やりは不織布の上からたっぷりと与えます。

春菊の管理

間引き

春菊は収穫までに計3回、間引きを行ないます。株間の距離を目安にして、間引きしましょう。本葉1~2枚の頃に株間を3cm、本葉が3~4枚の頃に株間を6cm、本葉が5~6枚の頃に株間を15~20cmまで広げます。

追 肥

2回目の間引き以降、2週間に1回、化成肥料30g/㎡を追肥して、作業後は株元に土寄せをします。

水やり

乾燥すると生育が悪くなるので、水やりはこまめに行ないましょう。午前中や夕方などの涼しい時間帯に水やりを行なえば、株が蒸れにくいのでおすすめです。

除 草

雑草や枯れ葉は病害虫の温床になりやすいため、見つけたら取り除きましょう。

春菊の摘み取り収穫

草丈が25~30cmほどになったら、下の葉を2~3枚残して、主枝を手で摘み取ります。
それ以降は脇芽が伸びてくるので順次摘み取って収穫します。
収穫後に肥料を与えると、株の再生を促すことができ、より長く収穫を楽しめます。

春菊

春菊の病害虫

アブラムシ

新芽や葉に集団で寄生して吸引する害虫で、ウィルス病を媒介する場合もあります。水をかけて洗い流すか、発生初期に殺虫殺菌剤や殺虫剤を散布して駆除しましょう。発生前に不織布などで株を覆うことでも対策可能です。

オンシツコナジラミ

幼虫が葉の裏側に寄生して養分を吸います。この状態で放っておくと、葉の裏側がオンシツコナジラミの排泄物でベトベトになり、カビが生えてくるので注意が必要。発生した場合は、アクテリック乳剤などを繰り返し散布して防除します。

エカキムシ

ハモグリバエの幼虫は、葉の表面に白い筋で落書きしたような食害のあとを残すことから、エカキムシと呼ばれています。小カブはこの害虫に食害されると、葉が枯れるなどの症状が現れて健康に育ちません。春先から秋まで食害を繰り返し、サナギの状態で土中越冬します。予防策としては、防虫ネットを張るのが有効です。

栄養価

鍋料理の定番食材の春菊。寒くなってくると食卓で活躍しますが、その栄養価の高さからも、風邪を引きやすい冬にはぴったりの食材です。春菊に豊富に含まれているビタミンEとβ-カロテンは風邪に有効な働きを持っています。ビタミンEは、自己治癒能力を高めるため、風邪にかかってしまったときの早期の回復に効果的。一方のβ-カロテンは皮膚や粘膜を保護して、風邪の原因となるウイルスが体内へ侵入するのを防いでくれるので、風邪を引きにくくなります。
「食べる風邪薬」と言われるほど、病気の予防に重宝される春菊。すき焼きや湯豆腐などに入れてたくさん食べて、より健康な体を目指しましょう。

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