トウガラシ 果菜類

トウガラシ料理の辛味として広く用いられるトウガラシは、ナス科の香辛野菜で、ピーマンと同じ品種です。原産地であるアメリカからヨーロッパ、さらにインドへと伝わり、その後は世界中で栽培されるように。葉は佃煮や漬物、実は乾燥させて香辛料となって、様々な料理の脇役として活躍しています。 そんなトウガラシを自家栽培する魅力は、品種が多彩なこと。定番品種の「鷹の爪」「八房」、辛味がほとんどない「万願寺トウガラシ」、激辛品種の「ハバネロ」「島トウガラシ」などがあり、用途や好みに合わせて品種を選べます。今回は難易度の低い移植栽培(購入した苗から育てる方法)を紹介しますので、園芸初心者の方も気軽に挑戦してみましょう。

栽培カレンダー

時期の色分け:植え付けの時期追肥の時期収穫の時期
トウガラシの栽培カレンダー
地域の色分けについて
温暖地沖縄・九州・四国
中間地中国・近畿・中部・関東
寒冷地北陸・東北・北海道

上記の地域区分は目安としてお考え下さい。
標高や地形、年次変動によって同一地域でも気候条件が変動します。
お住まいの地域に合わせて栽培して下さい。

トウガラシを作るのに必要な資材
  • 苦土石灰
    苦土石灰
  • 完熟牛ふん堆肥
    完熟牛ふん堆肥
  • 油かす
    油かす
  • 化成肥料
    化成肥料
  • 黒マルチ(農業用フィルム)
    黒マルチ
    (農業用フィルム)
  • 熔リン
    熔リン
  • 植え穴用の棒(支柱など)
    植え穴用の棒
    (支柱など)

トウガラシを育てるコツ

日当たりと水はけの良い肥沃な土壌でよく育ちます。病害虫の被害も少ないため、栽培は比較的容易です。ピーマンの栽培方法と似ていますが、トウガラシの方が栽培期間が長い分、肥料を多く施す必要があります。
なお、水切れや肥料切れといったストレスによって辛くなってしまうため、適度な辛さで収穫するには、こまめな追肥と水やりが必要です。

トウガラシの植え付け

植え付けの2~3週間前に150g/㎡の苦土石灰を土に混ぜ、よく耕しておきます。

植え付けの1~2週間前には、堆肥3kg/㎡、油かす100~200g/㎡、化成肥料150~200g/㎡、熔リン60g/㎡を植え付け場所の全体にまくか、または畝の中央に深さ30cm程の溝を掘って溝施肥(みぞせひ/穴や溝の底に肥料を入れる方法)を実施しましょう。

マルチのフィルターを畝に被せたら下準備は完了。植え付け当日は45~50cm間隔でマルチに植え穴を開けて水を注ぎ、水が引くのを待ってからポットから苗を植え替えます。植え付け後は仮支柱を立て苗を誘引しておくと、次の工程へ進んだときに作業がスムーズです。

トウガラシの管理

間引き

一番果(最初に付く果実)が付いて肥大し始める頃、わき芽が伸びてきます。主枝と元気なわき芽2本を残し、他のわき芽はすべて摘み取り、3本仕立てにしましょう。残したわき芽が伸びてきたら、支柱を計3本に増やして、イラストを参考に誘引します。

間引き
追 肥

植え付けの2週間後から、2週間に1回、追肥します。株が小さいうちはマルチの穴に約10gの化成肥料をまいて、株が大きくなったらマルチをめくって畝の両隅に30g/㎡の化成肥料をまきましょう。

水やり

トウガラシは根が地中の浅いところに張られるため、乾燥には弱い野菜です。朝と夕の2回、たっぷりと水やりを行ないましょう。

除 草

雑草や枯れ葉は病害虫の温床になりやすいため、見つけたら取り除きましょう。マルチを張ると、太陽熱で消毒され雑草や害虫の繁殖を未然に防止できます。

トウガラシの収穫

開花後60日程度で実が真っ赤に熟してきたら収穫適期です。
株ごと引き抜いたあと、風通しの良いところで吊るしたりして乾燥させます。
なお、カプサイシンは刺激が強く、直に触ると皮膚に痛みを感じる場合がありますので、収穫をする際、敏感肌の人は必ず手袋をして行ないましょう。

収穫

トウガラシの病害虫

アブラムシ

新芽や葉に集団で寄生して吸引する害虫で、ウイルス病を媒介する場合もあります。水をかけて洗い流すか、発生初期に殺虫殺菌剤や殺虫剤を散布して駆除しましょう。発生前に不織布などで株を覆うことでも対策可能です。

栄養価

トウガラシは栄養価に優れた野菜です。免疫力が向上するカロテン、風邪予防や疲労回復に効果的なビタミンC、抗酸化作用を持つビタミンEなどが含まれています。なかでも、注目したいのがカプサイシン。この栄養価は胃腸を刺激して消化液の分泌を促す働きがあり、夏バテなどで食欲がないときには最適です。また脂肪の燃焼や発汗作用を促進させるため、ダイエットにも役立ちます。

このように健康に有益なトウガラシですが食べ過ぎには注意が必要。刺激のあるカプサイシンの過剰摂取は、胃や腸に負担がかかります。自分の体と相談しながら適量を食べるのが、体には一番です。

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