まるで緑色のラグビーボールのような形をした白菜。たくさんの葉が重なり合って、この円筒形を作っています。
大型のアブラナ科の野菜で、主な収穫時期は冬。葉は、加熱するととろりとした食感と甘みが楽しめ、鍋物には欠かせない食材です。
栽培時は病害虫に弱いため、園芸初心者にとって難易度は少々高め。しかし、病害虫対策としてマルチや防虫ネットの設置に慣れる良い機会にもなります。白菜作りを通じて、冬のおいしい恵みを収穫しつつ、園芸のレベルアップを目指しましょう。

- 温暖地沖縄・九州・四国
- 中間地中国・近畿・中部・関東
- 寒冷地北陸・東北・北海道
※上記の地域区分は目安としてお考え下さい。
標高や地形、年次変動によって同一地域でも気候条件が変動します。
お住まいの地域に合わせて栽培して下さい。
白菜を作るのに必要な資材
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苦土石灰 -
完熟牛ふん堆肥 -
化成肥料
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防虫ネット -
黒マルチ
(農業用フィルム) -
トンネル用支柱
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白菜を育てるコツ
白菜を大きく結球させるためには、まずは株をしっかりと育てること。
これには、苗の植え付けと追肥を適切な時期に行なうことが重要です。
また、初めての栽培時は、ホームセンターや園芸店で苗を購入して植え付けると、手間がかからず失敗が少なくなります。
白菜の植え付け
植え付けの1週間前、畝を作る予定地に、100~150g/㎡の苦土石灰を土に混ぜ、土壌の酸性度をph6.0~6.5に調整しておきます。植え付け適期を迎えた、本葉5~6枚の苗を用意しておきましょう。
植え付け当日、肥料効果が高い溝施肥(みぞせひ/溝の底に肥料を入れる方法)と呼ばれる方法で土づくりを行ないます。苗を植えるスペースに溝を掘り、3ℓ/㎡の堆肥、100g/㎡の化成肥料を施し、幅60~70cmの畝を作成。
土の上に黒マルチを張り、空き缶などを使って畝の中央に株間40~45cmで穴を開けます。根付きが良くなるようにあらかじめ植え穴に水を注ぎ、土を湿らせておき、水が引いたらポットから苗を植え替え、株元を手で軽く押さえましょう。マルチの穴に水を注いで作業は終了です。
白菜の管理
- 防虫ネット
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害虫対策として、苗の植え付け直後に防虫ネットをかけます。畝をまたぐように、トンネル用の支柱を50~60cm間隔で立て、防虫ネットをかぶせましょう。ネットの両端を留め具で固定し、裾に土をかぶせ、隙間ができないようにします。ネットの上からも支柱を渡し、強風対策をして作業は終了。なお追肥や土寄せの際には、そのつどネットは外しましょう。
- 追 肥
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植え付けから2週間後、本葉の数が増えてきたら1回目の追肥のタイミングです。葉を持ち上げ、マルチの穴に約3g/㎡(手でひとつまみ程度)の化成肥料を施します。それから2週間後、畝の両側に30g/㎡の化成肥料をまき、2回目の追肥を実施。その後も2週間に1度、2回目と同量の追肥を行ないましょう。
- 土寄せ
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2回目以降の追肥では、毎回土寄せを行ないます。クワなどで肥料と土を混ぜ合わせ、畝の両端に土を寄せましょう。作業後は、防虫ネットをもとに戻すのを忘れずに。
- 水やり
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苗が土に根付くまで(植え付けから約2週間。葉の成長スピードが速くなったら、しっかりと根付いた目安)は、たっぷりと水を与えます。その後の水やりは土の乾燥が続かない程度の頻度にし、1回の量は少なめに。水が多すぎると、病気を引き起こしやすくなります。
白菜の収穫
収穫時期を確かめるには、結球部分を手で押してみましょう。それで結球上部が固く締まっていたら収穫適期。
球を斜めに倒すと付け根が露出するので、結球の下の葉を数枚残して包丁で切り取り、収穫します。
すぐに収穫しない場合は、初霜の降りる頃、外葉で結球を包むようにひもで縛っておきましょう。年明けまで、良い状態で保存が可能です。
白菜の病害虫
- べと病
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葉に淡黄色をした小さな斑点ができ、放っておくと葉裏にカビが生えます。これは、高温期に発生し多湿を好む病気です。農薬で対策する場合は、葉の裏表にまんべんなく散布しましょう。
- 菌核病
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菌が感染して起こる病気。白菜が結球する頃、外葉に淡い褐色の模様が現れ、その部分が徐々に腐敗します。葉の重なり合う部分が綿毛のようなカビに覆われ、最後にはネズミのフンのような黒い塊ができます。予防には薬剤を散布しましょう。発生してしまったら、感染した株は畑の外で処分し、感染を広げないことが重要です。
- 根こぶ病
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根部が異常に肥大する、カビによる病気。晴れた日に株がしおれていたら、根こぶ病の可能性があるので根を引き抜いて確認します。予防には、アブラナ科の連作を避けたり、土壌酸性度を6.5ph近くに維持したり、畝を高くして水はけを良くしたりすることが有効です。また、感染源は野菜だけでなく、雑草も含まれるので注意が必要。発生したら、病気の株から感染が広がらないように、すみやかに畑の外で処分しましょう。
- ヨトウムシ
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夜間に活動して葉を食害するヨトウムシ。卵が葉裏に産み付けられ、ふ化直後は、群棲して葉肉部を食害します。大きくなるにしたがって分散し、昼間は茂みや土中に隠れていますが、夜間になると勢いよく葉をかじって、食べ尽くしてしまいます。ふ化直後の葉裏に群棲しているときに捕獲して取り除くのがいいでしょう。
栄養価
白菜は水分が多いため、ダイエットに向いた野菜。低カロリーながら、ナトリウムとグルコシノレートという、質の高い栄養素を含んでいます。
ナトリウムは、人体には欠かせない栄養素のひとつ。高血圧の予防や老廃物の排出を促す働きがあります。グルコシノレートは、がんやアレルギー疾患の予防に効果があるとされる注目の成分。白菜にはそれほど多くの量は含まれていないものの、少量でも効果が期待できます。
たくさん園芸で作って、ダイエットや健康維持に大いに活用しましょう。