ホウレンソウ 葉菜類

緑黄色野菜の王様とも言われるホウレンソウ。王様とまで言われる理由は優れた栄養価にあります。ビタミン類や鉄分、カルシウムなどのミネラル分の含有量は野菜の中でもトップクラスで、疲労回復、生活習慣病の予防といったうれしい効果が豊富です。料理方法は、鍋、お浸し、サラダ、パスタなどと多彩。特に油で炒めると、カルシウムの吸収率が上がってより健康的に頂けます。

原産地が中央アジアのホウレンソウは、冷涼な気候を好み、冬場の低温にも適応可能です。
しかし、暑さには弱く夏に25℃以上になると発芽・生育不良に陥り、病気になりやすいので注意が必要。なお、ホウレンソウは収穫後、鮮度が落ちやすいため早く食べるのがおすすめです。または、ゆでたり蒸したりと下処理したあとに冷凍保存をすれば鮮度を保つことができます。栽培にはコツが必要ですが、間引き菜もやわらかくておいしく、園芸の楽しさを味わえる野菜なので、まずは一度作ってみましょう。

栽培カレンダー

時期の色分け:種蒔きの時期追肥の時期収穫の時期
ホウレンソウの栽培カレンダー
地域の色分けについて
温暖地沖縄・九州・四国
中間地中国・近畿・中部・関東
寒冷地北陸・東北・北海道

上記の地域区分は目安としてお考え下さい。
標高や地形、年次変動によって同一地域でも気候条件が変動します。
お住まいの地域に合わせて栽培して下さい。

ホウレンソウを作るのに必要な資材
  • 苦土石灰
    苦土石灰
  • 完熟牛ふん堆肥
    完熟牛ふん堆肥
  • 化成肥料
    化成肥料

ホウレンソウを育てるコツ

土作りが重要なため、種蒔き前は苦土石灰を使用して、土壌酸度を6.2~6.5phに調整します。種蒔きの際は土を平らにすることが肝心です。まき溝の底や種蒔き後に土を埋め戻した地面が凸凹だと、発芽の時期がそろわなかったり、苗がうまく育たなかったりします。支柱などの棒を地面に押し当てると、きれいに平らになるのでおすすめです。

また、発芽がそろいやすいように加工された「プライマックス種子」という種や発芽率の高い「ネーキッド種子」の種を選べば、初心者でも育てやすくなります。

ホウレンソウの種蒔き

種蒔きの2週間前に苦土石灰150~200g/㎡を土に混ぜ、土壌の酸性度を6.2~6.5phに調整しておきます。種蒔き1週間前に堆肥2kg/㎡、化成肥料200g/㎡を散布し、土に混ぜ込みましょう。

種蒔き当日は、幅約60cmの畝を作成。支柱などを使って、深さ約1cmのまき溝を作り、株間約1cmを取って種をまきます。種をまいたら土を埋め戻して、手のひらで軽く押さえ、たっぷりと水を与えましょう。なお、畝に2条まき(まき溝を複数作るまき方)するときは、条間(溝と溝の間)は15~20cmが目安です。

ホウレンソウの管理

間引き

種蒔き後3~4日後で発芽し、7~10日で双葉が開きます。その後、本葉が1~2枚見えはじめたら株間が3~4cm間隔になるように間引き、株元に土寄せをしましょう。

追 肥

草丈が7~8cmになったら、化成肥料30g/㎡を株元に追肥して土寄せをします。

水やり

発芽するまでは、乾燥しないように水を与えます。発芽後は多湿にならないように、水を与えるのは少なめにしましょう。

除 草

雑草や枯れ葉は病害虫の温床になりやすいため、見つけたら取り除きましょう。

ホウレンソウの収穫

春蒔きは種蒔き後30~40日、秋蒔きは種蒔き後30~50日が収穫適期です。
草丈が20~25cmほどに育った物から、順次抜き取って収穫します。 根元を手でつかんで引き抜き、引き抜いたあとは根を切っておきます。 また、ハサミの刃先を土の中に差し込み、根を切って収穫する方法もあります。

ホウレンソウ

ホウレンソウの病害虫

アオムシ

モンシロチョウの幼虫で、体長1~3cmの緑色の虫。葉物野菜の葉を食害し、大小様々な穴を空けます。葉に成虫が産卵するので、そこに被覆資材をかけたり、薬剤を散布したりして幼虫の発生を予防しましょう。

ヨトウムシ

夜間に活動して葉を食害するヨトウムシ。葉裏に生み付けられた卵からふ化すると、群棲して葉肉部を食害します。成長すると葉を食べ尽くすようになり、被害が拡大。ふ化直後の葉裏に群棲しているときに、駆除しましょう。

アブラムシ

新芽や葉に集団で寄生して吸引する害虫で、ウイルス病を媒介する場合もあります。水をかけて洗い流すか発生初期に殺虫殺菌剤や殺虫剤を散布して駆除しましょう。発生前に不織布などで株を覆うことでも対策可能です。

栄養価

ホウレンソウと言えば、マンガの「ポパイ」で有名。主人公のポパイがホウレンソウを食べると筋肉隆々になるシーンからも分かる通り、ホウレンソウのイメージは栄養価の高い野菜です。可食部100gあたりの栄養価でホウレンソウと他の野菜を比較すると、その栄養価が際立って高いことが分かります。カロテン含有量は1,700IU。これはキャベツの170倍、レタスの24倍です。鉄分は3.7mgでキャベツの9倍、レタスの7倍。ビタミンCは65mgで、キャベツの1.5倍、レタスの10倍となっています。

そんなホウレンソウの中でも、特に栄養の詰まっている部位は茎の赤い部分。ここには便秘に効果的なマグネシウムが豊富です。調理の際は捨ててしまうことなく、丁寧に土を落として頂きましょう。ただし、ホウレンソウはゆですぎると栄養素が溶けてしまうため注意が必要。ゆで時間は沸騰した湯で30秒ほど。それと、ゆでたあとに水洗いしないこともポイントです。

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