メロンはレストランでフルコースのオードブルやデザートに採用される高級食材です。果肉を嚙むと、とろけるようなまろやかさと甘みが口いっぱいに広がります。
そのおいしさで果物の王様と言われるメロンですが、実は分類的には野菜です。栽培方法は同じく野菜のスイカに似ており、整枝や人工授粉が重要。
これらの作業は少し手間ですが、がんばったご褒美には、とってもみずみずしくて甘い果肉が待っています。

- 温暖地沖縄・九州・四国
- 中間地中国・近畿・中部・関東
- 寒冷地北陸・東北・北海道
※上記の地域区分は目安としてお考え下さい。
標高や地形、年次変動によって同一地域でも気候条件が変動します。
お住まいの地域に合わせて栽培して下さい。
メロンを作るのに必要な資材
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苦土石灰 -
完熟牛ふん堆肥 -
化成肥料
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黒マルチ
(農業用フィルム) -
熔リン -
支柱と麻ひも
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メロンを育てるコツ
整枝、人工授粉、摘果などの管理を適切に行なうことが重要です。
整枝、摘果では、欲張らずに余分なつるや実を取り除きましょう。
残した実に栄養を集中させることで、選りすぐりの大きなメロンが育ちます。
メロンの植え付け
メロンは苗から育てるのが一般的。その際は、「接(つ)ぎ木苗」をホームセンターか園芸店で購入するのがおすすめです。接ぎ木苗とは、育てたい野菜の芽を、別の病気に強い野菜の苗に接いだ物のこと。土台になる野菜の性質を受け継いでいるため、接ぎ木苗は病気に強い特徴を持っています。
植え付けの1週間前に幅約1m、高さ15~20cmの畝を立て、100~150g/㎡の苦土石灰、3~4kg/㎡の堆肥、100g/㎡の化成肥料、50g/㎡の熔リンをまいてよく耕しましょう。マルチを張れば準備は完了です。
植え付け当日は、畝の中央に1m間隔で植え穴を空け、ポットから苗を植え替えて土を埋め戻し、手で軽く押さえます。株の脇に仮支柱を斜めに差し(根を傷つけないため)、麻ひもなどで茎と仮支柱を結びつけて誘引。株元にたっぷりと水やりをします。
メロンの管理
- 間引き(摘心・整枝)
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本葉6~7枚になったら、根元から伸びている親づるの先端を切って摘心します。その後、親づるから子づるが伸びたら、元気の良い物を3~4本残し、15~20節で摘心しましょう。
- 人工授粉
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雌花が咲き始めたら、人工授粉をします。朝9時(その日咲いた花の花粉の寿命が短いため)までに、雄花を摘んで花びらを取り除き、雌花の中心に花粉を付けましょう。花が下を向いたら受粉が成功した合図。子づるの5~12節から出る孫づるの雌花を受粉させると、理想の位置に実ができます。なお、受粉日を記録しておくと、収穫の際に目安となるので便利です。
- 追 肥
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最初に付いた実、一番果がピンポン玉程度に育ったら、30g/㎡の化成肥料を畝の周囲にまきます。その後、株の様子を見て、元気がないようだったらもう一回追肥を実施。ただし、実が付くまでに肥料をやりすぎると、葉ばかり茂る「つるボケ」になるため注意しましょう。
- 摘 果
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一株につき実が2~3個になるように、形の良い物を残して摘み取ります。理想の形状は卵形。細長い物や、丸・扁平形は望ましくありません。残す実の数は、品種によって異なるため事前に確認しておきましょう。
- 水やり
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メロンを甘くするには水分管理が重要です。収穫予定日の10日前頃から水やりを少なめにすると、糖度が増しておいしくなります。
メロンの収穫
正確な熟期は品種ごとに異なりますが、開花から40~50日が大体の収穫適期。
なお食べごろを迎えた実は、尻部がやわらかくなったり、甘い香りが強くなってきたりといった変化が起きるので、これらも目安にしましょう。

メロンの病害虫
- ウリハムシ
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ウリハムシの幼虫は黄白色のウジ虫で、土中で根を食害するため葉が蝕まれていることがなかなか分かりません。成虫になると葉や果実に寄生して食害するようになります。防虫ネットをかけるなどして対策をしましょう。
- うどんこ病
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うどん粉をまいたような白色のカビが葉や茎に円形に生え、次第に全体に広がります。光合成が阻害される他、葉の養分が吸収されて生育不良になり、花が咲かない、果実が肥大しないなどの害があるため、発生初期に薬剤を散布して対策しましょう。また、窒素過多がうどんこ病の原因になるので、肥料を与えるときは注意が必要です。
栄養価
メロンはおいしいだけでなく、体に良い栄養価をたくさん含んでいます。
糖質や食物繊維、GABA(ギャバ)などがある中で、注目したいのがカリウム。メロンには野菜の中でもトップクラスの量のカリウムが含まれています。同じくカリウムの含有量で有名なスイカを上回る量です。なお、カリウムは塩分の排泄を促す作用があり、高血圧を予防。日頃から塩分を摂る機会の多い日本人には、ありがたい栄養価となっています。