お役立ち情報
料理やキッチンに関する豆知識や裏ワザなどをご紹介します。
全国の郷土料理
日本には、各地に伝わる様々な料理があります。そこには、「特産物をさらにおいしく食べたい」、「冬の厳しさを少しでも和らげたい」、「限られた食材を無駄なく食べたい」など、先人たちの見事な工夫と食に対する強い思いが詰まっています。
ここでは、昔から大切に育まれ、愛されてきた郷土料理の数々をご紹介します。

【茨城県】 どぶ汁
どぶ汁とは、いわゆるアンコウ鍋のことです。今は高級魚として重宝されているアンコウですが、以前は「どぶに捨てる魚」でした。しかし、漁師の間では船上でよく食べられており、それが広まって命名されました。
作り方は、水の代わりにアンコウから出る大量の水分を使い、ダイコンや白菜・ネギなどの野菜を味噌で味付けして煮込みます。アンコウのコクと肝で、独特の濃厚な味わいが楽しめます。

【栃木県】 耳うどん
正月に食べる郷土料理として、佐野市に古くから伝わる料理です。耳の形に折った小ぶりのうどんを、野菜や肉の入った汁で煮ることから名付けられました。餅の代わりにうどんを入れる、お雑煮のような物です。
「我が家の話を悪魔に聞かれないので、災いが起きない」とか、「悪口が聞こえないから、村の付き合いが円滑に進む」などの言い伝えがあります。

【群馬県】 おっきりこみ
麺をゆでずに煮込むことでとろみを出す、一風変わった麺料理です。この地方は小麦の産地で、畑仕事を終えた女性たちが手軽に多く作ることができ、栄養も豊富なことから多くの農家に広まりました。
体が芯から温まり、特産の小麦粉を効果的に使える、という利点があります。
麺は太麺で、味噌またはしょうゆをベースにしたつゆと、サトイモやダイコンといった根菜類などの野菜をふんだんに入れるのが特長です。

【埼玉県】 たらし焼き
野良仕事のあとや子供たちのおやつとして、昔から秩父地方に伝わる郷土料理です。生地をたらして焼くため「たらし焼き」と呼ばれるようになりました。
お好み焼きやホットケーキのような簡単な作り方で、水溶き小麦粉に大葉やニラをたっぷり入れて混ぜ、味噌で味付けして焼き上げます。
家庭ではゴマ味噌で和えたり、桜エビやふきのとうを入れたりするなどアレンジしています。

【千葉県】 なめろう
漁師が船上で作っていた、房総半島沿岸部に伝わる郷土料理です。アジやサンマ・イワシなどを三枚におろして細かく刻み、みじん切りにしたネギ・ショウガ・大葉などに味噌を和えてたたきにした物です。
根気よく叩くと、粘りが出てお皿にくっつく程になります。なめろうの語源は、このお皿に付いた残りまでなめる程おいしいから、と言われています。
なめろうを焼いた「さんが焼き」、酢を混ぜた「酢なめろう」も人気の料理です。

【東京都】 深川丼
江戸末期、深川を中心とする隅田川の河口あたりは、アサリが豊富に獲れていました。このアサリをふんだんに使い、手早く調理するのが深川丼です。
漁師が出漁の前や船上で食べていたことが始まりで、アサリのむき身とネギや油揚げなどを味噌味で煮込み、薬味と一緒に白いご飯にかける、というシンプルな物です。
同じ材料をしょうゆ味で煮込んだ物を、「深川めし」と言います。

【神奈川県】 けんちん汁
汁物の一種で、鎌倉市に伝わる精進料理です。語源は建長寺の修行僧が作っていた物からなまったという説と、中国料理の巻繊(けんちゃん)がアレンジされた説などがあります。
肉などの動物性たんぱくは一切使わず、だしはかつお節ではなく、昆布やシイタケから取るのが特長です。
作り方は、ダイコンやニンジン・ゴボウ・サトイモなどをゴマ油で炒め、だしとしょうゆで味を調えます。しょうゆの代わりに、味噌で仕立てる家庭もあります。