こんにちは、料理家の野上優佳子です
私たちがキッチンで当たり前のように使っている物が、他の文化圏ではとても珍しいということ、結構ありますね!
最近では、もう簡単に入手できるようになったかもしれませんが、今から10年以上前、アメリカに引越したばかりの頃に、日用品を買いに出かけたときのこと。
キッチン用品を買おうと思ってお店に出かけたら、まな板が売っていない
薄手のガラス製または木製の、小ぶりなカッティングボードと、中華料理店で見かける分厚くて丸い木製の物は売っているのですが、日本でよく使っていた、まな板がない
試しにガラス製の物を買ってみたら、当然小さいので十分に食材は切れないわ、包丁の刃がカチカチ当たってボロボロになるわで、使い心地の悪いことと言ったらこの上なく、ほとほと困ったのでした
その謎は、とある本を読んで解けました
文化人類学者の石毛直道氏の著書によれば 、東アフリカやアラブ、インド地域では、まな板での調理は一般的でなく、チベット系シェルパ族も、骨付き肉を切るとき以外は、まな板は使わない。
まな板文化形成には、「箸」で食事をすることと関連があるのだ、と。
なるほど確かに、海外の料理番組を見ると、日本ほど様々な食材を細かく切る作業はありません。
アラブやアフリカは手づかみでの食事文化圏、ヨーロッパやアメリカはナイフとフォーク
食事の際に、テーブルで肉の塊を切り分けたり(食卓には切り分け用ナイフが用意される)、骨付きのまま手づかみでかぶりつくならば、食材を事前に小さく加工する必要はない。
箸でつまめる大きさにあらかじめ材料を切り刻む文化に、包丁とまな板という名コンビが生まれたというわけです。
さて今回は、包丁とまな板だけを使った、おいしい前菜レシピをご紹介します。
残暑厳しい中、火を使わずに5分もあればできちゃいます!
ぜひお試しを。