こんにちは、料理家の野上優佳子です。
子どもの頃は、大の探偵小説好き !
大人になったら名探偵になろう、と真剣に思ったものでした。
以前アガサ・クリスティーが生んだ名探偵『エルキュール・ポアロ』シリーズの作中に出てくる食卓をご紹介しましたが、今回はコナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』 の食卓をご紹介します。
シャーロック・ホームズが住むのは、英国ロンドンのベイカー・ストリート。
作中では明らかになっていませんが、ホームズは1854年生まれという説が有力です。
つまり1800年代後半から1900年代初頭 のイギリスの食卓を垣間見ることができる、と言うわけですね。
日本で言えば江戸末期から明治にかけての頃です。
文学作品に登場する食の場面は、時代背景や登場人物の暮らしを反映する、大事なエッセンス でもあります。
ホームズの食事の世話を主にしているのが、彼が住む下宿屋の女主人(または家政婦とも)、ハドソン夫人です。
料理の腕前は素晴らしく、助手のワトソンが『ブラック・ピーター』という作品の中で「 the excellent breakfast which Mrs. Hudson had prepared(ハドソン夫人が素晴らしい朝食を用意した)」と太鼓判を押しています。
実際に食卓に並ぶメニューを見てみると、ハムエッグ、チキンカレー、腸詰、ポリッジ、チャウダー、プディングなど。
小さい頃から食いしん坊だった私は、子供心に「食べてみたい」 と心躍らせたものでした。
ですから大人になって『シャーロック・ホームズ家の料理読本』(晶文社)を見つけたときの感動と言ったら!
著者は、料理研究家のファニー・クラドック。
イギリスでは超有名で、初のテレビ料理番組を持った人です。
この本は写真こそありませんが、ホームズの食卓にのぼった料理がレシピとして紹介されています。
さて今週は、イギリス・スコットランドの定番菓子『ショートブレッド』のレシピをご紹介します。
さっくり食感の焼き菓子はティータイム にもおすすめ。
ぜひお試し下さい。