こんにちは、料理家の野上優佳子です。
今日のテーマは、今が旬の「牡蠣(カキ)」です。
大別すると「真牡蠣(マガキ)」、「岩牡蠣(イワガキ)」、「地牡蠣(ジガキ)」の3つに分類されるそうで、私たちにおなじみなのはマガキとイワガキですね。
そして秋から冬にかけて旬を迎えるのはマガキです。
9月頃に産卵を終えるマガキは、次の産卵期(春)になるまで栄養を蓄えていきます。
身が太るこの期間が一番美味 と言うわけです。
日本ではカキはいつ頃から食べられ始めたのでしょうか。
東京・北区の中里遺跡には縄文時代中期に形成された貝塚が見つかり、カキとハマグリの殻が大量に見つかっています。
他の貝殻が混ざっていないため、そこはカキとハマグリの養殖場だったのではと言われています。
そして生食で頂くのが一般的になるのは明治維新以降です。世界に目を向けてみると、ヨーロッパにおけるカキの生食の習慣はとても早く、古代ローマ帝国ではカキの養殖も行なわれ、貴族たちがイギリスからカキを取り寄せ
ガルム(魚醤の一種)やワイン、ビネガー、オリーブオイル、黒こしょう等を混ぜた物と和えて食べたようで、魚介類の生食をあまりしない欧米ですがカキだけは特別なようです。
遡って18世紀、ジャン=フランソワ・ド・トロワという画家による『カキの昼食』 と言うフランス革命前の絵画は、貴族たちが生カキを食べる様子が描かれています。
そして現在でも、フランスでは冬になるとずらりと殻付きのカキが並び、エカイエ(écailler)というカキの殻を剥く職業があることからも食文化の深さと長さを垣間見ることができます。またアメリカ(ボストン)はシーフード料理のメッカ。
オイスターバーも数多くその中でも最古のレストランは1826年に創業されました。アジアを見れば、韓国では、チヂミやクッパ、お粥の具として定番ですし、長い食文化の歴史を持つ中国では干ガキを戻した煮込み等を始め、炒めたり蒸したりと大変数多くの種類のカキ料理があります。
生でよし、蒸してよし、煮てよし、焼いてよし!
今だからこそ味わえるカキ、たっぷり楽しみたいですね。
さて今回は、タスマニアの伝統料理のひとつ「オイスターキルパトリック」のレシピをご紹介します。
ビールにもワインとも相性抜群!
本来は殻付きで焼きますが、今回は作りやすくむき身を使ってグラタン皿で焼きます。
とてもシンプルなレシピなので、ぜひお試し下さいね。