こんにちは!
韓国料理研究家の本田朋美です。
韓国の地方都市、『安東(アンドン)市』をご存じでしょうか?
韓国の東南部にある慶尚北道(キョンサンプクド)の街になります。慶尚北道は東側が日本海に面し、ほとんどが山脈に囲まれた盆地。米や豆などの農業が盛んで、イカやカニなどの漁業も活発です
安東は、韓国の中でも儒教文化の色が強いと言われています。朝鮮王朝時代に建てられた儒教教育機関の書院も現存し、昔ながらの家屋も残されています。
両班(ヤンバン)と言う朝鮮時代の貴族の末裔が生活している安東河回村(ハフェマウル)は、ユネスコの文化遺産に認定され、世界的にも有名です。
安東は慶尚北道の内陸の盆地にありますが、特産品に塩サバ(カンコドゥンオ)が挙げられます。
海のない安東なのに、なぜ塩サバが有名なのでしょうか?
交通の便が発達する以前、海で獲れた魚を商人が内陸部に運んでいたため、運搬に二日かかりました。そのため、サバは塩漬けにする必要があります。
しかし、安東のサバは水揚げ直後に塩漬けにするのではなく、安東に到着する頃に塩漬けにします。
サバは消化酵素が強いため、死後すぐに自ら分解していきます。よって、サバは足が早いと言われるのですが、完全に腐る前は熟成していますから、このタイミングで塩漬けすると、旨みがぐっと増えます
そのような技法で処理されている「安東塩サバ」は、一種のブランドになっていて、他の塩サバと一線を画しているのです。
塩サバの一番おいしい食べ方は、そのまま焼いてご飯のおかずにすること。とにかくご飯が進みます。
また、サバの煮付けなどは、他の地域では生サバを使いますが、安東では塩サバで作ります。煮付けはコチュジャンや唐辛子で辛くしますが、安東では辛みを少なくして仕上げますので、塩サバのおいしさを最大限に引き出しています
一緒に煮付けるダイコンやジャガイモには、塩サバの旨みが染み込み、ヤンニョム(調味料)も吸って、格別なおいしさに仕上がります。
さて、本日お届けするレシピは 「サバのキムチの煮」 です。今回は生サバを使いました。
塩サバを使う場合は、しょうゆの量を減らして下さいね。