こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
数ヶ月前、研修のために韓国に滞在したとき、昼食に中華料理の出前をお願いしました。
韓国では出前文化が発達していて、その代表的な料理に「韓国スタイルの中華」があります
これは中華料理を、韓国固有の食材を使い韓国人の舌に合うようにアレンジした物です。
中でも一番人気は、八丁みそに近いチュンジャンという甘辛みそを使ったジャージャー麺!
韓国人の国民食と言っても過言ではありません
韓国に中華料理が入ってきたのは、1883年の仁川(インチョン)開港がきっかけと言われています。
開港により諸外国との交流が盛んになり、中国租界(外国人居留地)ができて多くの中国人が仁川に移住しました
それに伴い中華料理が伝わり、徐々に形を変えて韓国人の好みに合わせた中華料理が完成しました。
冒頭に書いたジャージャー麺はその代表です。
ジャージャー麺以外では、唐辛子入りで真っ赤なスープの海鮮チャンポンや、日本でもおなじみの酢豚が大人気です。
酢豚は韓国語で「タンスユク」と言い、漢字で「糖水肉」と書きます。
そもそも酢豚は中国が発祥の料理で、どれ程前から作られていたのか正確には分からないくらい歴史が古いということで、中国語では「古老肉(クーラオロウ)」とも呼ばれています。
ちなみに酢豚にパイナップルが入っているのは、香港などイギリス領だった地域の影響です。
欧米人に受けの良さそうな果物を入れてみたところ、予想外においしかったので定番になったそうです。
近年の酢豚の歴史はというと、1960年代に米不足による粉食奨励(ふんしょくしょうれい)運動が活発になり、調理に粉を使う酢豚に注目が集まります
90年代以降には甘酸っぱい酢豚が人気を博し、韓国における中華料理の代表メニューになります。
韓国の酢豚はカラッと揚げた豚肉に甘酢あんをかけた物が多く、パイナップルを入れている店は少ないようです。
また特徴的なのは、具にキュウリが入っていることが多いことです。
これは韓国のキュウリは日本のものに比べて水分が少なく硬いので、炒め物に適しているからです
韓国の出前やお店では、酢豚は大皿料理として出てくるのが定番です。
大皿料理をおかずに皆でわいわい賑やかに食べると、おいしさが増すように感じますね
機会がありましたら、韓国の酢豚を召し上がってみて下さい。
それでは、本日は「韓国酢豚(タンスユク)」をご紹介致します。
食べ応えのあるトンカツ用の豚肉を二度揚げし、あんにはキュウリを入れます。
酢豚は手間のかかる料理という印象がありますが、下味用のタレやあんの材料などを最初にそれぞれ混ぜておいてから調理にかかると、思ったよりも時間がかかりませんので、ぜひお試し下さい