こんにちは。野菜と豆腐の料理家、江戸野陽子です。
私は豆腐料理を作るとき、参考にしている本があります
ニュートンプレス社刊行の「豆腐百珍 原本現代訳」です。

これは江戸時代(約200年前)に書かれた豆腐料理集の現代語訳版。
百珍という名の通り、豆腐を使った料理が100品掲載されています
この本が発売された当時、大層人気を集め、「豆腐百珍続編」、「豆腐百珍余禄」の続編も出された程。
こちらの訳本は、続編を含めた3冊分のレシピが載っているので、大変参考になります
レシピ集と言っても、現代のレシピ本とは大きく違い、口頭で説明するような文章です。例えば本の三番目に登場する「あらかね豆腐」はこんな感じ。
「豆腐の水をよくしぼり、つかみ崩して鍋に入れ、油は使わず、酒としょうゆで炒りつけ、摺り山椒をふりこむ。」
最低限の注釈が付いていますが、分量や道具など、現在とは違うと思われる箇所もあり、分かりにくくて最初は戸惑いました
しかし何度か再現していくうちに、それ程厳密でなくて良いということが分かったのです
それもこれも、豆腐百珍は庶民に向けて書かれた本だったからかも知れませんね。
作り方をすぐに知りたい場合は、現代の料理人たちが再現した「豆腐百珍レシピ」を探してみると良いかと思いますが、私は本を読みながら、それが一体どんな料理なのだろうと想像を膨らませて、試作するのを楽しんでいます
そこで今回は、豆腐百珍の六七番目に登場する「縮緬(ちりめん)豆腐」を現代風にアレンジした「豆腐茶碗蒸し」をご紹介したいと思います
縮緬とは、細長く切った豆腐の呼び名で、ちりめんじゃこ(しらす)のことではありません
絹ごし豆腐をうどんみたいに細長く切り、卵液に浸して蒸し上げる一品。
豆腐を細長く切ることで、茶碗いっぱいに豆腐が広がり、スプーンをどこに入れても、豆腐と卵を一緒にすくうことができるのです。
立方体に切った豆腐だと、どうしても卵だけになる部分があるため、細長い方が豆腐と卵の一体感がグンと増します
蒸し上げたあと、仕上げにくずあんとわさびをトッピング
くずあんが綺麗な飴色に輝き、トロリとした食感が絶妙です。
少し多めにかけるとより満足感がありますよ。
そして、わさび
豆腐百珍のレシピでは、薬味の使い方も現代とは異なり、温かい料理にわさびを入れることが多いです。
温まったわさびは、ツンとした辛さだけでなく、冷たいときには感じないほのかな甘さが漂います。
それが豆腐の味を引き立て、食欲をそそる格別な味わいになるのです
江戸時代の豆腐料理に思いを馳せながら、楽しんで作って頂けたらと思います

私は豆腐料理を作るとき、参考にしている本があります

ニュートンプレス社刊行の「豆腐百珍 原本現代訳」です。

これは江戸時代(約200年前)に書かれた豆腐料理集の現代語訳版。
百珍という名の通り、豆腐を使った料理が100品掲載されています

この本が発売された当時、大層人気を集め、「豆腐百珍続編」、「豆腐百珍余禄」の続編も出された程。
こちらの訳本は、続編を含めた3冊分のレシピが載っているので、大変参考になります

レシピ集と言っても、現代のレシピ本とは大きく違い、口頭で説明するような文章です。例えば本の三番目に登場する「あらかね豆腐」はこんな感じ。
「豆腐の水をよくしぼり、つかみ崩して鍋に入れ、油は使わず、酒としょうゆで炒りつけ、摺り山椒をふりこむ。」
最低限の注釈が付いていますが、分量や道具など、現在とは違うと思われる箇所もあり、分かりにくくて最初は戸惑いました

しかし何度か再現していくうちに、それ程厳密でなくて良いということが分かったのです

それもこれも、豆腐百珍は庶民に向けて書かれた本だったからかも知れませんね。
作り方をすぐに知りたい場合は、現代の料理人たちが再現した「豆腐百珍レシピ」を探してみると良いかと思いますが、私は本を読みながら、それが一体どんな料理なのだろうと想像を膨らませて、試作するのを楽しんでいます

そこで今回は、豆腐百珍の六七番目に登場する「縮緬(ちりめん)豆腐」を現代風にアレンジした「豆腐茶碗蒸し」をご紹介したいと思います

縮緬とは、細長く切った豆腐の呼び名で、ちりめんじゃこ(しらす)のことではありません

絹ごし豆腐をうどんみたいに細長く切り、卵液に浸して蒸し上げる一品。
豆腐を細長く切ることで、茶碗いっぱいに豆腐が広がり、スプーンをどこに入れても、豆腐と卵を一緒にすくうことができるのです。
立方体に切った豆腐だと、どうしても卵だけになる部分があるため、細長い方が豆腐と卵の一体感がグンと増します

蒸し上げたあと、仕上げにくずあんとわさびをトッピング

くずあんが綺麗な飴色に輝き、トロリとした食感が絶妙です。
少し多めにかけるとより満足感がありますよ。
そして、わさび

温まったわさびは、ツンとした辛さだけでなく、冷たいときには感じないほのかな甘さが漂います。
それが豆腐の味を引き立て、食欲をそそる格別な味わいになるのです

江戸時代の豆腐料理に思いを馳せながら、楽しんで作って頂けたらと思います

