こんにちは!野菜と豆腐の料理家、江戸野陽子です。
ここ数回に亘って豆腐を取り上げてきたので、今月はおからについてお話ししようと思います。
早速ですが、おからは腹持ちが良いという話を聞いたことはありますか?
今回は「おからの腹持ちの良さ」について解説したいと思います。

■おからは豆腐より食物繊維が豊富
腹持ちの話をする前に、おからの成分について再確認してみましょう。
こちらのコラムでも紹介したことがありますが、おからとは大豆の絞りかすのことですね。
そのため、おからには大豆由来の栄養分が残っており、栄養的にはとても優秀なことで知られています。
さて、その優秀さはどんなものなのか見てみましょう


・エネルギー/111kcal
・タンパク質/6.1g
・脂質/3.6g
・炭水化物/13.8g
・ミネラル/カリウム350㎎、カルシウム81㎎、マグネシウム40㎎
・ビタミン/E 0.7mg、ビタミンK 8μg、B1 0.11mg、B2 0.03mg、葉酸 14μg
・コレステロール/0
・食物繊維/11.5g
おからは豆乳の絞りかすではありますが、このように食物繊維やカルシウムをたっぷり含んでおり、タンパク質や炭水化物、カリウムにも富んでいるのです。
ここで注目すべきは食物繊維の量

なんと、絹ごし豆腐の食物繊維量0.3g/100gよりはるかに多いのです

そして、これこそがおからの腹持ちの秘密と言えます。
■食物繊維が豊富だと満腹感を得られる!?
食物繊維はエネルギーに変換される訳ではありませんが、体内で様々な健康効果を発揮してくれるので、第6の栄養成分として重宝されています

この食物繊維ですが、大きく分けて2種類あります。

その名の通り、水に溶けないタイプの食物繊維です。
おからの食物繊維にも含まれる「セルロース」などがあり、腸のぜん動運動を促すので、便秘の解消になります。
また、腸内の残留物を掃除してくれるので、大腸ガンの予防にも繋がると言われています。

水に溶けるタイプの食物繊維で「ペクチン」などがあります。
腸内の善玉菌のえさとなり、菌を増やして腸内環境を整えます。
また、血糖値の吸収を抑えたり、コレステロールの排出を促したりします。
おから100gには、セルロースなどの不溶性食物繊維が11.1gで、残りの0.4gが水溶性食物繊維を含んでいます

いずれも吸水性が高いので、胃の中で水分を含んで膨み、満腹感が得やすくなるのです。
前述したように、100gの絹ごし豆腐の食物繊維量が0.3gなのと比べると、その差は歴然。
おからの腹持ちが良いと言われる根拠が分かる訳ですね

ちなみに、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は2:1のバランスで摂取することが良しとされています。
おからだけだと、不溶性食物繊維が多くなり便が固くなりやすく、便秘を悪化させることがあるので、おからと一緒に水溶性食物繊維が含まれるこんにゃくやキノコ類なども積極的に食べ、水分をきちんと取るよう心がけましょう

■おからナゲットを作ろう!
「おからナゲット」は、節約量増しレシピとして知られていますが、食物繊維レシピとしても優秀な一品です

ただし、おからだけだと整形しにくく、ボソボソとした口当たりになってしまうので、卵とキノコ、レンコンのすりおろしを加えて作りましょう。
キノコで水溶性食物繊維量を増やし、レンコンでむっちりとした食感をプラスし、卵がつなぎの役割を果たしてくれますよ。
できたては、ムチムチとお餅みたいな食感ですが、冷めると生地が固まって鶏肉に近い食感になります

主原料がおからとは思えないほど、ボリュームたっぷりの一品に仕上がりますので、ぜひ作ってみて下さい

