こんにちは、料理家の野上優佳子です。
9月になると東北では、すっかり秋の気配が訪れます
この季節になると、河川敷などでよく見かけるのが「芋煮会」。
家族や友人など大勢のグループで集まって、大鍋に芋煮を作って食べるのです。
いわば「BBQの鍋料理版」、といったところ。
東北地方でも、特に山形や宮城などで盛んに見かけられ、芋煮用の薪や着火材がコンビニで普通に売られている程、地元では日常に根差した、まさに秋の風物詩です。
山形市では毎年、「日本一の芋煮会フェスティバル」というイベントが開催され、直径6mの大鍋に3トンのサトイモと1.2トンの牛肉などを入れて、薪で煮炊きして芋煮が作られます。
聞いただけでも、ド迫力
芋煮の芋がサトイモであることは一緒ですが、その他の具や味付けは地域や家庭によって様々。
味付けを見ると、山形はしょうゆベース+牛肉が一般的のようで、宮城は味噌仕立てで豚肉が入ります。
加えて、山形でも庄内地方だけは豚肉+味噌なのだそうで、なかなか興味深い。
肉の消費量については、一般的に東日本は豚肉文化圏、西日本は牛肉文化圏と言われます。
その文化形成の理由については、また今度話題にしようと思いますが、なぜ山形は牛肉なのか。
米沢牛をはじめとするブランド牛を抱える山形は、東北地方で突出して牛肉消費量が高く、同地方の他県と比べると2倍近い量です。
米沢藩は、藩医に熱心に蘭学を学ばせ、医学研究に熱心な土地柄。
明治期にすでに薬として牛肉を導入していたそうで、こういった歴史的背景も、牛肉文化形成の要因のひとつという説もあるそうです
では今回は、牛肉とサトイモ、そしてしょうゆベースの山形風の芋煮のレシピをご紹介します。
甘みが好きな東北らしく、隠し味に砂糖を入れるのがポイント。
老若男女に好まれるおいしさ、ぜひお試し下さいね