こんにちは、料理家の野上優佳子です。
皆さんは「霜先の薬喰い」(しもさきのくすりぐい)と言う言葉を、聞いたことがありますか?
霜先とは、霜が降り始める陰暦10月のこと。
10月〜12月は、霜枯れ三月と言われ、「太陽の光が弱まり、万物の生命力が弱まる時期」と昔から言われています
薬喰いとは、栄養のある物を食べると言うこと。
かつて肉食が一般的ではなかった頃、栄養を付けるために狩った兎や猪などの獣肉が薬のように貴重だったため、それを食することを薬喰いと呼んだことが、その発端なのだとか。
江戸のベストセラー、井原西鶴の「好色一代男」には、「干鮭(からさけ)は、霜先の薬喰ひぞかし」と言う一文があります。
冬に向けて干した鮭が、滋養の高い食べ物として扱われていたことと同時に、江戸の秋の光景を思い浮かべることができます。

さてこの鮭ですが、秋鮭または秋味という呼称でおなじみの通り、今が旬。
4年の回遊の末に、鮭は産卵のために故郷の川に戻ってきます。
9〜11月に獲れる物が最もおいしいと言われ、海から川に入る前の銀色に輝く「銀毛」は高級品として取り扱われます。
たんぱく質やビタミンA、そしてアスタキサンチンと、美肌効果が期待できる栄養素も豊富な鮭。
おいしい今、たくさん食べたいですね
今回は、その鮭を使った南蛮漬けをご紹介します。
骨を除いて食べやすくするので、お子さんからお年寄りまで、安心して食べて頂けます。ぜひお試し下さい