こんにちは、料理家の野上優佳子です。
普段、当たり前のように使っているけれど、実はなんだろう?と思う物って意外にあるものです。
例えばベーキングパウダー。
お菓子作りのときによく使う粉で、膨張剤やふくらし粉とも言います。
何かと言えば、炭酸水素ナトリウム(重曹)と塩類(酒石酸塩や硫酸アルミニウムナトリウムといった物)、でんぷんを混ぜた物です。
ベーキングパウダーの主成分、炭酸水素ナトリウムは、加熱することで二酸化炭素と水、炭酸ナトリウムに分解します。
例えば、スポンジケーキを作るときに、ベーキングパウダーを使った場合。
卵などの水分と接したとたんに反応して、二酸化炭素を発生させ、60℃あたりから急速に発生速度が上がります。
二酸化炭素の泡が生地を膨らませ、泡が小さくたくさん均一に出れば、それだけきめ細かい生地ができる、という仕組み。
膨らませるという化学反応には、こんなふうに様々な要因が絡み合っているのですが、失敗しないための最低限のルールがあります。
それは、生地ができたらすぐに焼くこと。
焼く際、生地を入れる前にオーブンの庫内は必ず予熱しておくこと。
なにせ、材料を混ぜた時点で二酸化炭素は発生しているので、放っておけばどんどん泡ができて、しまいには抜けてしまいます。
泡を閉じ込めるために、できるだけ早く加熱によって生地(卵のタンパク質)を凝固させることが大事、という訳です。
「料理は科学」とは、よく言ったもの。
その原理を少し知っておくだけで、料理の腕が上がりますね
さて今回は、このベーキングパウダーを使って、香り豊かなアールグレイのマフィンを作ります。
ちょっとした手みやげや、おもてなしのおやつにもぴったりです