こんにちは、料理家の野上優佳子です。
レシピ本は、私たちの生活にとても身近な書物のひとつ
朝廷の行事としての料理儀式法やメニュー名などは平安時代の書物の中にも見ることができますが、料理そのものや作り方を知るような料理書(現代で言えばレシピ本)と呼べるような物が一般にも普及し始めたのは、江戸時代と言われます。
有名な物としては、豆腐料理を100種類紹介した「豆腐百珍」。
これは大変流行したそうで、続編もいくつか刊行され、こんにゃくや甘藷(かんしょ、さつまいものこと。)などの百珍本まで登場したそうです。
豆腐百珍は、定番の家庭料理の「尋常品」や市販の「通品」、見た目も味も良い「佳品」などのカテゴリに分けて紹介されており、今見てもなかなか面白くて参考になる料理がいくつもあります。
と言っても、かなり大まかな説明なので、江戸庶民のおおらかさゆえと、そこはご愛嬌
当時は、火を使う調理もかまどを使って行なわれたので、ちょっとした火加減もかなり難しかったのでは、と推察されます。
限られた料理法や調味料を使いこなし、季節に合わせて素材を上手に楽しんだ、江戸時代の食卓を垣間見ることができるのも楽しいです。
時代小説や落語を楽しむときにも、この江戸時代の食事情をなんとなく知るだけで、ぐんと解釈の楽しさが増します。
現代語訳や再現レシピ本も多数出版されていますので、お暇なときにのぞいてみては?
温故知新、新しい目からウロコのレシピに出会えるかもしれませんね
さて今回は、江戸時代に刊行された「万宝料理秘密箱」に登場した卵料理「利休卵」をご紹介します。
この本の中では卵料理が103種類紹介されていて、俗に「卵百珍」とも呼ばれます。
ゴマの風味たっぷりの卵の蒸し料理、日本酒のおつまみに抜群です。お試し下さいね