こんにちは、料理家の野上優佳子です。
そろそろ5月、美しい新緑の季節
「目には青葉 山ほととぎす 初鰹(はつがつお)」の句が頭をよぎり、やたらと鰹が食べたくなります。
魚屋さんにはキラリと肌を光らせて身の締まった鰹が並び、まさに垂涎(すいぜん)
先述の句は江戸の俳人、山口素堂のもので『江戸新道』(えどしんみち)という俳諧集に収録されたひとつです。
目には鮮やかな「青葉
」、耳には美しい山ほととぎす
の鳴き声が聞こえ
、そして口にはおいしい初鰹
を頬張っている
。
まさに五感で季節を満喫する名句で、江戸の人々が最も好んだものです。
江戸っ子の初物好きは筋金入りで、初鰹・初鮭・初ナス・初きのこは【初物四天王】と呼ばれていました。
中でもダントツ人気は初鰹。
その執着は驚くばかりで、特に4月あたりの走りの鰹は大変人気で、とても高値が付きました。
それから一ヵ月もすればその100分の1程度まで値が下がるというのに、鎌倉、三浦海岸のあたりで穫れた新鮮な初鰹を食べるためならと「女房を質に入れても初鰹」などという句まで詠まれたそうですから、なんとも失礼なこと!と思いつつも、思わず笑ってしまいました
ちなみに江戸時代は、わさびやショウガではなく、辛子を薬味に鰹の刺身を味噌や酢で食べるのが通常だったそうです。
ちょっと意外かも知れませんが、これもなかなかの美味。
この春はぜひ一度、鰹のお刺身、辛子醤油で召し上がってみて下さい。
さて今回は、鰹を使ったフライをご紹介します。
昔と違い、手頃なお値段で活きの良い鰹が手に入るからこそのレシピ
お弁当にもおすすめですので、ぜひお試し下さいね。