こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
韓国料理の調理法のひとつに「ソン」と呼ばれる「蒸し物や煮物」があります。
ソンはメイン食材に他の食材を挟み込んだり、乗せたりした物を、蒸したり、煮付けたりして完成させる物で、もとは宮廷料理で用いられた手法を応用した調理法です
また、蒸し物や煮物を指す調理法には「チム」というものもありますが、これは定義が異なります。
チムは蒸したり、少量の煮汁で煮付けたりする調理法で、代表的なものに、「韓国風茶碗蒸し」=「ケランチム」や、「牛肉煮込み」=「牛カルビチム」といった物があります。
ソンは朝鮮時代から存在する料理ですが、1600年代に刊行された料理書「飲食知味方(ウムシクチミバン)」や1800年代の料理書「是議全書(シイジョンサ)」に登場する「冬瓜のソン」は、現在のソンとは異なっています。
是議全書の冬瓜のソンを例に取ってみると、冬瓜を丸く切ってごま油で炒め、からしを添えて食べていたそうです。
他の食材と合わせることや、蒸したり煮たりする工程がないことからも、現在食べられているソンの方がひと手間かかっていることが分かりますね
具体的に例を挙げてみましょう
上記の写真は、キュウリのソンです。
キュウリのソンは、キュウリに切り込みを入れて塩水に浸けてからさっと炒め、切り込みに味付けして炒めた牛肉とシイタケの千切り、錦糸卵(きんしたまご)を挟み込み、甘酢をかけます。
豆腐のソンは、水切りした木綿豆腐をすり潰し、下味を付けたひき肉を混ぜ合わせて、再び四角く成形し、上に錦糸卵、きのこ類を飾って蒸し上げます。
白身魚のソンは、魚を捌いて平らになるように開き、その上に味付けした牛肉とシイタケ、ニンジン、錦糸卵を乗せて巻いた物を蒸し上げます。
ソンは、どれも見た目が美しく鮮やかで、宮廷料理だった頃の名残を感じさせる物が多いです。
料理の見た目を美しく整える美意識は、どんな国の料理にもあるのかもしれませんね
さて、今回は「ソン」料理のひとつである、「ナスの詰め煮(カジソン)」をご紹介します。
上記では紹介しませんでしたが、こちらは食材を合わせて煮付けるレシピです。
本来は、仕上げに白身と黄身をそれぞれ薄焼き卵にした物を細切りにして飾りますが、今回は手軽に作れるように糸唐辛子だけにしました。
肉と干しシイタケの旨味がナスに染み込んだ、ご飯がすすむおかずです
ぜひ、作ってみて下さいね