こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
先月、ソウルから車で1時間程の場所にある利川(イチョン)という街に行ってきました
イチョンはお米の産地として有名な地で、朝鮮時代には収穫されたお米が王様に献上されていた過去がある程、上質なお米が穫れる土地です
お米の産地ゆえに白米をウリにした定食屋が数多く、イチョンに軒を連ねる多くの飲食店では、食べ切れない量のおかずが味わえます。
このおもてなしはイチョンだけに限りません。
韓国ではお客様をもてなすとき、お膳の足が折れる程に沢山の料理を出すのが良いと言われており、このようなサービスは他の飲食店で度々見かけます。
韓定食で名高い全州(チョンジュ)では、特にその様子がすごいのです。
6名分の座卓に約30種類の料理を乗せて、お客様の前にそのまま運ぶという演出があるのですが、何度見てもこのお料理の数々には驚きと感動があります
韓国料理の特徴として、上記のようにたくさんのおかずでお客様をもてなす他、ご飯やおかゆの種類が豊富といった点にあります。
日本料理もそうですが、これは韓国料理がご飯とスープを基本にした膳からなるためでしょう。
その中でも韓国らしいご飯のひとつ、「栄養ご飯(ヨンヤンパプ)」という炊き込みご飯(釜飯)をご紹介します
栄養ご飯とは、米になつめ、栗、松の実などを一緒に炊き込んだ、具沢山の炊き込みご飯(釜飯)のことです。
韓国料理は「薬食同源」の概念があり、なつめ、栗、松の実を使った物は特に、薬のような栄養食と考えられていました。
朝鮮時代にはこの「栄養ご飯」はお客様のおもてなしや、貴族や目上の方たちのための特別食として食べられていたのです。
食材の薬膳的な効能は下記のようになります。
なつめ:気を補強し、造血により精神を安定させる。
栗:胃腸を丈夫にして、血行を促進する。
松の実:老化を防止し、肺を潤す。
こう見ると、滋養強壮的な薬効の食材が中心になっていることが分かります
使用する食材は上記以外に雑穀、豆類、高麗人参、野菜、きのこ、ナッツ類などがあります。
また栄養ご飯を盛り付けるときの工夫も色々です。
例えば、くり抜いたカボチャに詰めた物、竹筒を器にした物、蓮の葉っぱに包んだ物などがあります。
今では、栄養ご飯は庶民的な食事として親しまれており、街には専門店もできてきました。
専門店で出される物は、石釜や土鍋でのところが多く、炊飯器では難しいカリカリとしたおこげの食感が魅力的です
石釜や土鍋の栄養ご飯では必ずと言っていい程、最後におこげを作り、そこに湯を注いで、おこげ茶という物を作ります。
これは日本で言う、お茶漬けやおかゆに近い物です。
おこげ茶は消化吸収を促進するので、ちょっと食べ過ぎたあとでも胃腸をすっきりさせてくれるのですよ
韓国に訪れた際には、一度栄養ご飯(釜飯)の専門店に行ってみて下さい。
日本の釜飯屋とは違った風情も味わえるはずです
さて、今日のレシピは炊飯器で作る「栄養ご飯」です。
韓国の炊き込みご飯の特徴は、食べるときに好みの量のタレをかけて頂きます。
このタレはクセになる味わいで、ついつい食べ過ぎてしまうことも。
とても簡単なので、お試し下さい