こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
冬本番となりました
この季節は、温かい鍋やスープで体の中から温まりたいですよね
日本と同じく、韓国の冬も厳しい寒さに見舞われるため、アツアツの鍋やスープが欠かせません
韓国で鍋やスープを作るときには、味付けに「唐辛子味噌」という合わせ調味料をよく使います。
唐辛子味噌は韓国語で「タデギ」と言って、その名前の由来には大きく分けて2つの説があります
ひとつは日本語がもとになっている説
唐辛子味噌を作るとき、叩いてつぶしたニンニクと粉唐辛子を混ぜ合わせる工程があります。
その中の「叩き(たたき)」という言葉が「タデギ」の由来とされています。
ちなみに、朝鮮半島は日本の植民地だった時代があるため、日本の単語が韓国語に混ざり合って、現在も使われている言葉があります。
例えば、爪楊枝は「ヨウジ」、練り物は「オデン」などです。
日本の名詞とまったく同じ物を指す言葉ではないことからも、「叩き」が名詞として使われることはありそうですね
そしてもうひとつは、韓国北部の方言がもとになっている説
韓国北部に位置する咸鏡道(ハムギョンド)では、押し固める・みじん切りにするという単語「タジダ」を、少し訛りのある「タディダ」と発音したことから、その製法で作られる唐辛子味噌を「タデギ」と呼んだそうです。
どちらの説にしても、唐辛子味噌の作り方が由来になっているなんて面白いですね
さて、唐辛子味噌(タデギ)は、地域や家庭によって材料や作り方が若干違いますが、ニンニクと粉唐辛子は必ず入っています。
その他に、ショウガ、しょうゆ、ゴマ油などを加えて完成させます。
唐辛子味噌を使う料理と言えば、日本でも人気のあるスンドゥブチゲです。
昆布などのだし汁に唐辛子味噌を入れて煮立たせ、アサリ、おぼろ豆腐、卵、ネギを加えて、アサリの口が開いたら食べ頃の鍋料理。
唐辛子の辛味に、昆布やアサリから出た旨みが加わり、とてもおいしいです
また、韓国旅行好きの間で有名な唐辛子味噌を使う料理は、タッカンマリという鶏一羽を使った豪快な鍋です。
ソウルの中心地に近い東大門(トムデムン)エリアでは、タッカンマリの専門店がせめぎ合っています。
タッカンマリは鶏肉を煮込むときに辛い味を付けずに、水炊きのように作ります。
日本の水炊きと大きく違うのは、ニンニクを入れて煮込むため、韓国独特の味付けにマッチすることです
お店のテーブルに備えてある唐辛子味噌、酢、からしなどで自分好みのタレを作り、鶏肉に付けながら頂きます。
じっくり煮込んだ鶏肉を、辛味と旨みのタレに浸けて頬張る……。
これがとても病み付きになる味で、時々思い出しては「タッカンマリを食べたい!」衝動に駆られる程です
このように韓国の鍋料理には欠かせない唐辛子味噌。
私は一時期、唐辛子味噌を味噌汁に入れていました
唐辛子の辛さとニンニクの旨みは、日本の味噌との相性もバッチリです
唐辛子味噌は、合わせ調味料の中でも長期保存が可能なため、冷蔵庫で保存すれば、1ヵ月くらいは問題ありません。
辛い物がお好きな方は、新たな調味料としてご自宅に備えてみてはいかがでしょう。
唐辛子味噌をちょい足しするだけでも、いつものごはんががらりと変わりますよ
さて本日のレシピは、唐辛子味噌を添えた「鶏煮込みうどん」です。
鶏肉の旨みが溶けたスープで煮込んだうどんは、優しい味わい。
唐辛子味噌は、煮込むときに加えても構いませんが、あと入れすれば、最初はそのままの味で、途中から唐辛子味噌を入れた味で、と2つの味が楽しめますよ
ぜひお試し下さい