こんにちは、料理家の野上優佳子です。
先日、興味深い映画を観ました。
「0円キッチン」というオーストリアの映画で、テーマはフードロス(食料廃棄)。
監督でもあるDavid(ダーヴィド)さんが「食料救出人」として、ゴミ箱を改良した携帯型キッチンを、廃油で走る車に積んで、ヨーロッパ5ヵ国を回るロードムービーです。
期間は5週間、廃棄された食料だけを食べて旅をします。
大きなスーパーマーケットのゴミ箱(Davidさんにはゴミ箱ダイバーという異名もあります)からは、食べられるけれど賞味期限切れで捨てられた食材や調味料、ちょっと傷んだ野菜や果物がたくさん見つかります
一般の家庭を回って、冷蔵庫の中から「もういらない」と持ち主が思っている物をもらうシーンも。
農家の畑には、規格外で販売できない野菜
雑木林の中にある外来種の雑草
街路樹に実った収穫されない果物
漁港に水揚げされた、売り物にできない魚
食料救出人が、様々な場所で食べられるのに捨てられる運命を背負ってしまった食料を救い出し、その食材を使ってパーティーを開いたり、保存食を作ったりして物語は進みます
彼が訪れる各地には、同じようにフードロスに取り組んでいる人がいて、その人たちと出会い、一緒に料理をしたり食事をしたりして意見を交わします。
多くの人とのかかわりの中で、Davidさんは逆に課題を投げかけられ、はっとする場面も。
この映画が素晴らしいと感じたのは、観ていてとにかく「面白い」こと
フードロスという課題をエンターテインメントに仕上げることで、小難しさや堅苦しさを感じさせないところがすごく良かったです。
世界中で、生産される食料の3分の1が食べられずに廃棄されていると言われています。
フードロスは、世界が抱えるとても大きな課題であるとともに、とても身近な問題でもあります
例えば冷蔵庫を開けたとき、ずっと使わずに見て見ないふりをしている物があったとしたら、それを食べきるだけで、フードロスを解決するはじめの一歩になるのでは。
小さなことでも、何かアクションを起こすことで、問題解決の糸口が見える気がします
映画を観たあと、自宅の冷蔵庫にある食材を確認してみたら、使いかけのコチュジャンの瓶を見つけました。
賞味期限まで残りわずか
今までだったら、そのまま放っておいて、数ヵ月後に「あーあ、期限が切れちゃった」と何も思わず捨てていたかも知れません
これは間違いなく、フードロスをなくすはじめの一歩
という訳で、今回はこのコチュジャンを使った常備菜「ツナとダイコンのコチュジャン煮」をご紹介します。
缶詰のツナとダイコンを一緒に煮れば、おいしいピリ辛料理の完成です。
煮汁がなくなるまで煮詰めるので、お弁当のおかずにもおすすめですよ
ぜひお試しを。