こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
私が初めて韓国を訪れたのは1991年。
海外旅行が趣味だったので、韓国は数ある旅先のひとつでした。
韓国で食事をしたときに、「肉と海鮮を組み合わせた料理」が豊富にあり、韓国独自の料理や味付けに興味を引かれ、これは和食にはないと気付きました
初めて牛肉とタコの入った辛味のあるスープを口にしたとき、意外に合うものだと小さな感動を覚えたのもこの時
日本料理の中では、コレといった肉と海鮮を組み合わせた料理が思い浮かびません。
韓国で肉と海鮮を一緒に使う料理はそれ程歴史が深くなく、朝鮮時代後期からのようです
しかし、朝鮮時代の末期1800年代後半に編纂された料理本「是議全書(シイジョンソ)」に、肉と海鮮を組み合わせた宮廷料理「悦口子湯(ヨルクジャタン)」の記述があります。
悦口子湯は、現在でも宮廷料理として親しまれている神仙炉(シンソンロ)に当たる物です。
神仙炉はとても手間がかかる宮廷の鍋料理。
私が韓国で習った作り方をご紹介しますと、まず牛肉から丁寧にスープを取ります。
具にはスープを取ったゆで肉をスライスした物、小さな肉団子、白身魚や芹などの野菜で作るジョン(チヂミ)、薄皮を丁寧に取り除いたクルミやぎんなんなどが入ります。
是議全書の再現本によると、当時はさらに豪華な食材を使っていたようです。
肉類は牛肉に加えて、豚肉、キジ肉と三つの内臓。
そして、海鮮はナマコやあわびも入っていました。
様々な食材が組み合わされ、複雑な味わいの鍋だと想像できますね。
その他の肉と海鮮を組み合わせた料理と言えば、韓国の南部に伝わる「三合(サマプ)」です。
三合は、発酵させたエイ、ゆで豚、熟成キムチを組み合わせた料理です。
発酵させたエイは貴重な食材で、南部地方ではお祝いの席で食べる風習があるのですが、これが鼻をつまみたくなるくらい独特な臭いを放っていて、韓国人でも苦手とする人がいる程です
もとは発酵させたエイだけを食べていましたが、肉とキムチの旨味が組み合わさることで相乗効果を生み、意外においしく食べられます。
肉と海鮮を組み合わせたことにより、料理の幅が広がって食べやすい料理になったのです。
料理の歴史を紐解いていくと、現在の形に変化した理由を知ることができて、面白いですね。
さて、本日のレシピは「イカとサムギョプサルのピリ辛炒め」です。
肉(豚肉)と海鮮(イカ)を組み合わせたスタンダードな一品。
肉と海鮮、辛さ、それぞれの旨味が組み合わさった相乗効果の味わいをぜひお試し下さい