こんにちは、料理家の野上優佳子です。
鯖(サバ)が、旬を迎える季節になりました。
サバは、古くから日本の生活に存在する食材です。
徳島県の八坂寺は、「鯖大師」という別名があり、空海(弘法大師)にまつわる伝説があります。
空海がこの地で野宿をしている時に、塩サバを馬で運ぶ馬子が通りかかり、塩サバを所望したところ、馬子はすげなく断った。
坂を上ろうとしたら馬が苦しみ出し、馬子は先の僧が巡礼中の空海と気づき、急いで戻って空海に塩サバを差し出した。
空海が加持水を馬に与えると馬は再び元気になり、差し出した塩サバに加持祈祷(かじきとう)を行なって海に放つと、サバは生き返って海に泳いで帰っていった、というお話。
空海が活躍したのは800年代の平安時代ですから、その頃すでに塩漬けの保存技術を持って、サバが食べられていたことになります。
そういえば、森鴎外の『雁』という作品にも、サバの味噌煮が登場していましたっけ。
書かれたのは1911年。
ずっと日本の食卓に、登場し続けているのですね
1年中漁獲のあるサバですが、この時期出回るものは「秋サバ」と呼ばれます。
産卵のために南下するこの時期は、よく泳ぎそして冬に備えてよく肥えているため、脂がよく乗り身の締まりが良い。まさに旬のおいしさが味わえます。
サバは、脳の発育や機能維持に重要な働きをするといわれるDHAやEPAが豊富で、青魚の中でも抜群の含有量を誇ります。
また肌や骨の発育に良いカルシウムやビタミンも多く、血合い部分は鉄分やタウリンなども含まれていて貧血予防効果も。積極的に食べたい優秀食材です。
ただし、足の早い魚なので、すぐに生臭くなります。
購入したらすぐにさばいて、調理することをお勧めします。
さて今日は、ふだん焼き魚で食べる塩サバを、なんとパンと合わせてみました。
でも、実はよく合うのです!
すでに塩味がついているので、サバの味付けは不要。
香ばしく焼いて、野菜と一緒にいただきます
お魚が苦手、というお子さんもこれなら食べてくれるかも!?