こんにちは、料理家の野上優佳子です。
秋も深まってくると、根菜類が豊かに実っておいしくなります。
食物繊維たっぷりの代表格の1つが「ゴボウ」。
ゴボウには、ちょっとした思い出があります。
ごく小さい頃、津軽生まれの祖母が、泣き止まぬ妹を見て「ごんぼをほってるのかいねえ」と優しく笑ったことを記憶しています。
青森の方言で、駄々をこねたり泣き続けたりすることを「ごんぼをほる」(ゴボウを掘る)と言うそうで、子供心にその表現を不思議に思ったものでした。
大学時代に民俗学の授業で方言について調べる機会があり、ふとそのことを思い出して調べてみると、細い根毛がたくさんあって長いゴボウを土から掘り起こすのはとても大変な作業であるのと同じく、一度ヘソを曲げてしまった者をなだめるのはとても大変、という意味が起源なのでは、との説がありました。
なるほど、ゴボウを抜くのも駄々っ子をなだめるのも、かなり大変です(笑)
さてこのゴボウ、旬は春と晩秋の年に2回。
日本や韓国の食材店では売られていますが、欧米では食用として売られているところはほとんど見かけません。
漢方薬やハーブの1種として扱われることがほとんどのようで、中国から日本に伝来した時も、最初は野菜としてではなく、薬草(根だけでなく葉や茎も含め)、漢方薬の材料として扱われていたようです。
今では日本の食卓には欠かせない食材となったゴボウ。
素晴らしい香りで、おいしさを引き立ててくれます。
皮の部分がおいしい香りを持っているので、選ぶときは土付きのものを購入し、たわしなどで水洗いして軽く泥をこすり落とす程度にし、皮をむききってしまわない方が、おいしくいただけます。
アク抜きの際に酢水につけると、黒ずみにくくなります
今回は、このゴボウを使ってポタージュに。
クリームの優しいうまみとからみあい、体も心も温まる、ほっとした優しい味わいのスープになります。
たくさん作って冷凍もできるので、ぜひお試しください