こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
ソウルの街を歩いていると、特定のエリアに専門店が軒を連ねています。日本で例えるならば、中華街やコリアンタウン。
ただ、ソウルの場合、ひとつの料理を専門とする店が立ち並ぶ横丁が多く、横丁の地名が付いた韓国料理が有名です。
今回は、ソウルの地名が付いた韓国料理をご紹介致します。

新堂洞(シンダンドン)+餅炒め(トッポッキ)
トッポッキは、餅の他に、野菜や牛肉がたっぷりと入り、しょうゆで味付けした炒め物で、甘辛い味の屋台料理として浸透していますが、もともとは朝鮮時代の高級な宮廷料理です。
1953年、現在のおやつとして食べられる、「甘辛いトッポッキ」が中華料理店で食べた餅にヒントを得た女性によって、編み出されました
新堂洞(シンダンドン)でリヤカーを引いて販売をはじめたところ、人気が高まり、甘辛いトッポッキを商売にする店が同エリアに集まって、「新堂洞トッポッキ」と呼ばれるようになったのです。
今では、韓国全土に広まり国民食となっている甘辛いトッポッキは、「新堂洞トッポッキ」としてブランドとなりました新林洞(シンリムドン)+腸詰め(スンデ)
スンデは、豚の小腸に春雨、野菜、餅米などを詰めて蒸す料理です。
6世紀の中国の農書「斉民要術」に羊の腸詰めの記述があったことから、中国から北朝鮮に伝わったと考えられます
1809年に刊行された「閨閤叢書(キュンハプチョンソ)」には、豚スンデの作り方が紹介されています。
北朝鮮の郷土料理となったスンデは、朝鮮戦争をきっかけに南側に避難した北部出身者が韓国に広めました。
ちなみに、新林洞スンデが誕生したのは、1970年代にスンデの専門店が集まりはじめたのがきっかけです。
ソウルで一般的なスンデの食べ方は、シンプルに塩を付けてお酒のおつまみにしたり、野菜と一緒に炒めてご飯のおかずにしたり、スープに入れて二日酔い覚ましの朝食として食べられました。楽園(ナゴン)+餅(トック)
観光客に大人気の仁寺洞(インサドン)近くに、楽園洞(ナゴンドン)と言うエリアがあります。古くからある餅屋さんは朝の7時から営業をスタートします。
朝鮮時代の後期に王様の食事を担当していた尚宮(サングン)たちが、1920年代に楽園洞で伝統餅店を開業したあと、尚宮から直接指導を受けた男性が餅屋を開き、その味を認められました。
そのあと、大統領府にも納品するようになり、極々自然な流れでこの街で餅屋を開業する人たちが集まったため、楽園洞で餅が有名になったのです。
現在、昔に比べて餅店の数は減少しましたが、日本のコリアンタウンでも「楽園」と名前を付ける韓国餅屋さんがあるほど有名ですよ。
上記以外には、
■東大門(トンデムン)+鶏一羽鍋(タッカンマリ)
■奨忠洞(チャンチュンドン)+豚足(チョッパル)
■武橋洞(ムギョドン)+タコ炒め(ナクチポックム)
■新沙洞(シンサドン)+ワタリガニのしょうゆ漬け(カンジャンケジャン)
■麻浦(マポ)+豚カルビ(テジカルビ)
などと、ソウルの地名が付いた韓国料理は数多く存在します。
どの料理も比較的どこでも食べられるのですが、地名が付くとプレミア感がありますね
さて、本日のレシピは、楽園餅にちなみ、「黒ゴマ餅(フギムジャトック)」をご紹介致します
本来は蒸し器を使うのですが、今回は簡単にできるように電子レンジを使用しました。
皆さんも、お気軽にお試し下さい
