韓国料理研究家の本田朋美です。
韓国料理には「チム」という料理方法があります。
漢字で書くと「蒸」
「蒸」という文字から、蒸気で加熱する方法を思い浮かべますが、
韓国では日本に比べて蒸し器を使う料理は多くありません
どちらかと言えば、時間をかけた煮込み料理に分類されます
18世紀に出た農書「増補山林経済」によると、
チムの語源は以下となっています。
「磁器の中に肉と酒、酢、醤油などの調味料を適量入れ、口を封じて弱火で湯煎して煮ることにより、柔らかくなるのを待って食べる」
そして、19世紀の農書「林園十六志」では、
チムを煮法に当てはめた結果、「煮る」と「蒸す」が同一のものとなりました
チム料理はとてもバラエティに富んでいます
骨付きの牛カルビを使った「カルビチム」、
鶏肉を使った「タクチム」など主食になるものから、
茶碗蒸しの「ケランチム」など副食もあります
韓国の伝統的な配膳である飯床(パンサン)で見ると、
チムは最低限の三楪飯床(一汁三菜)にはなく、五楪飯床(二汁五菜)から登場します。
牛肉などは庶民の口に入ることが少なかったので、
肉を良く使うチム料理は、経済的にやや余裕のある庶民の膳、
五楪飯床から加わることになるんですね。
カルビチムにおいては、現代では結婚式や子どもの誕生日パーティー
などにが出されることが多く、お祝い料理の一つ
チム料理の奥深さが、この一品に表れています
それでは、本日の料理をご紹介いたします。
豚バラ肉とキムチを使った「キムチチム」です。
この料理は約10年前に、ソウルにあるお店がメニューとして作り出したもので、一時期、韓国で大人気の料理となりました。
時間さえあれば、簡単に作れる一品です