こんにちは、料理家の野上優佳子です。
寒い日は、煮込み料理がとても多くなりますね。
料理をしていると鍋の湯気が 部屋の中をほんのり温めてくれて、なんだかとても幸せな気持ちになります
この時期によく作るのは、豆を使った煮込み料理。
乾物なので、なんとなく豆に旬なんてないのでは?と思われるかもしれませんが、
実は今が旬。
秋に収穫された豆を乾燥させたいわゆる「新物」。
皮が薄くてやわらかく、ほっくりと煮上がるのが特徴です。
私たちに身近な豆と言えば、大豆と小豆かもしれませんね。
今日はそのうちの「小豆」に注目してみましょう 。小豆は他の豆に比べて、下準備の浸水時間が不要の、とても使いやすい豆です。
15日の小正月、厄除けに小豆粥を召し上がった方も多いのではないでしょうか。 記紀神話(古事記と日本書紀の総称) によれば、オホゲツヒメという食物の女神がいましたが、この女神の亡骸の鼻から小豆が生まれたと書かれています。
この他、蚕や稲、麦、大豆、粟なども体の各部位から生まれ、それを天照大神が栽培したのが農業の始まり 、と言うのが説話となっています。
これだけでも、小豆が日本の食文化に大変古くから根ざした食物であることがうかがえます。
先述の小豆粥を食べる習慣は平安時代からで、小豆の赤色が陽の色で冬の陰気を相殺させるという思想から、1年の厄除けという意味を持つようになったという説があります。
今ではハレの食べ物である小豆入りの赤飯も、かつては凶事の際の悪霊払いだったのが、江戸時代から祝いの食に転化して庶民に定着していったそうです。
小豆の色は、悪い者を遠ざける強い力があると考えられていたのですね。
さて今回は、その小豆を使って「手作り粒あん」を作ります。
小豆粥で残ってしまった小豆があったら、ぜひ作ってみて下さい。
ぜんざいやあんこもちなど、いろいろ応用できますよ。