こんにちは、料理家の野上優佳子です
皆さんは【合食禁】という言葉をご存知ですか?
「食べ合わせ」「食い合わせ」とも言われ、○○と××を一緒に食べるとお腹を壊す、とか中毒を起こすから食べてはいけませんよ、という言い伝えのことです約500年前の南北朝時代に編纂された百科便覧『拾芥抄』(しゅうがいしょう)には、すでにこの合食禁が多数紹介されています。
調べてみると面白い物はたくさんあって、しかも地方色はあまりなく全国共通の物が多いと言うのも興味深いところですね。江戸時代に水戸の医師が書いた『救民妙薬』には
そばと猪肉・羊肉・スイカ
ニラに蜜・牛肉
ニンニクに蜜
豚に梅・そば
現代の科学で解釈すれば日常の食で危険性のある物は幸いにしてない、と言いつつも、明治時代の『日本家庭百事彙』には、古来の例として
天ぷらにスイカ、タニシにそばなどは、吐血や腹痛を起こす。
アンズに砂糖は命にかかわる。
と言った内容を紹介しています。
吐血や命にかかわる、とは聞き捨てなりませんね!そこで、実際にその食べ合わせを身をもって実験した方が大正時代にいらっしゃいました。
元国立栄養研究所調理部長の村井政善氏です。例えば最も有名な合食禁のひとつに「ウナギと梅干し」の組み合わせがあります。
この組み合わせで、村井氏は朝・昼・晩と試食。
1回目は蒲焼きと梅干し、2回目は白焼きと梅肉醤油、また別の回では蒲焼きと青梅、と言うように、様々なパターンで8回も試食してみたそうです。
結果、「科学的根拠無し」、「いけない物は何も無い」と証明してみせたと言うのですから、その情熱には舌を巻きます。
と言うわけで、私達も安心してウナギと梅干しを食べて良さそうです(笑)
さて本日は、春の山菜を炊き込んだ『山菜おこわ』のレシピご紹介します。炊飯器で簡単に作れます
ちなみに「おこわと河豚」も合食禁と呼ばれたひとつ。
もちろん、科学的根拠は無いそうなのでご安心を
もちもち食感をぜひお試し下さいね。