こんにちは、料理家の野上優佳子です。
皆さんは 「むかご」をご存知ですか?
「ぬかご」とも言い、漢字で「零余子」や「無加古」と書きます。
自然薯など山芋(ヤマノイモ)の蔓の 葉腋(ようえき/葉が茎と接している部分のこと)にできる、豆粒程度の大きさで、コロコロした、とても小さな芋の子のことです。
むかごは秋が収穫期でこれからがまさに旬
実は、古くから日本では、虚損を補い腰や膝を強くし腎を益す、と言われ栄養食として大変重宝されました。
様々な文献にも登場し、とても身近な食材だったことがうかがえます。
例えば『平家物語』。
白河院(第72代天皇)が寵愛した祇園女御に男の子が生まれたことを、熊野詣にお供をしていた平忠盛が白河院に伝えようとする場面があります。
「そのとき忠盛、薮にいくらもありけるぬかごを、袖に盛り入れ御前へ参り」
(薮に生えていたむかごをたくさん摘んで袖にしまって白河院のところへ参り)
「いもが子は はふほどにこそ なりにけれ」
(妹(祇園女御)の子が這う程、このむかごのように成長しました)
※いも=妹はかつては、妻や恋人と言う意味でも使われていました。
このような場面でむかごが登場します。
物語ではこのあと、白河院がその子を「忠盛の子として育てよ」と言い、忠盛はこの子をとても大切に育てます。そしてこの男の子こそがのちの平清盛となるわけです。
重要な場面でむかごが一役買っているのですね!
そんなむかご。
ささっと洗ってゆでたり蒸したりするだけでホクホクのおいしさが味わえる手軽な食材で、しかも味にもクセがなく、栄養も大変豊富。
今まで食べたことがない、という方もぜひ味わってみて下さい。
さて今回は、むかごの定番・むかご飯(めし)を洋風 にアレンジして『むかごのピラフ』にしました。
お子さんにも喜んで食べて頂けるレシピです。
鍋で炊くピラフは最高 新米 と一緒に、秋の味覚を堪能して下さいね。