こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
秋の代表的な果物のひとつに『梨』があります。
シャキシャキとした食感、さわやかな甘み、水分をたっぷりと含む梨は、和食の場合、料理に使うことは少ないと思いますが、韓国料理ではよく使います
梨の歴史は古く、紀元前には中国で発達していた農耕文化の伝来に伴い、中国で栽培されていた梨も、朝鮮半島に伝わったと言われています。
その後、人々の食生活は広がりを見せ、節日の食べ物が登場します。
918年から1392年まで続いた高麗時代、9月9日の「重陽節(ジュンヤンチョル)」は、特に盛大にお祝いをしたそうです。
「9」という奇数は「陽数」になるので、9が重なるその日を「重陽」と呼びます。
この日に頂く料理のひとつに、フルーツポンチのような「花菜(ファチェ)」があります。
花菜は種類が色々ありますが、重陽節では、冷水にハチミツ、柚子、ざくろ、松の実、梨を入れた物になります。
梨の成分のひとつとして、酵素が挙げられます。
酵素は肉の繊維質を破壊する働きがあるので、肉質をやわらかくしてくれます。
また、虫歯になりにくいソルビトールという糖質を含んでいます。
韓国では、この二つの成分を利用した料理が存在します。
例を挙げると・・・キムチ
キムチのヤンニョム(たれ)には、材料に唐辛子、塩辛、ニンニク、ショウガ、お粥など。さらに梨で自然の甘みが添加され、複雑で深い味わいを生み出します。 プルコギ
すりおろした梨としょうゆなどのヤンニョムに漬け込んで焼き上げたプルコギは、甘みが強く感じられる韓国料理のひとつ。安い肉でも梨のお陰で、一層おいしくなります
また、冷麺やビビン麺にも、お肉と一緒に梨が乗っています。消化の悪い肉と梨を一緒に食べると、消化が良くなるからです。
その他には、コチュジャンを使うような和え物に梨を使うことも多いですね。辛みの中に、梨のさわやかさが感じられます。
韓国では一年中梨が手に入るように保存・管理されています。自宅でも長期保存は可能。
新聞紙にくるんで冷蔵庫に保管すると、数ヵ月間はおいしく食べられます。
ちなみに、私は3ヵ月試してみたところ、みずみずしさはそのままでした
さて、本日のレシピは「タコの冷菜」です。
ソースにすりおろした梨と練りカラシを入れました。さわやかさの中に、カラシが少しピリッと感じられますよ。