こんにちは、料理家の野上優佳子です 。
寒くなり、いつもに増して食卓に登場する料理に煮込み料理 が増えました
ふんわりと上がる湯気を見ていると、それだけで心まで温かくなります
今日は、この冬場にこそおいしく頂ける『旬の乾物』についてご紹介します。
乾物は、長期に渡って常温での保存が効く、とても便利な食材です。
現代のように物流や生産技術が発達する前、特に寒くなる今頃から冬場かけては食物の収穫量が乏しくなります
乾物は、野菜類などを摂取できる貯蔵法でもあり、天候不良などで野菜高騰!というときにも強い味方になってくれますね。
まさに先人の知恵が今も息づいています。
この乾物、1年中で回っていますが、それなりに旬はあります。
例えば、冬の気象条件を利用して作られる「高野豆腐」は、まさにこれからが旬 と言えるでしょう。
世界遺産としても有名な和歌山の高野山を発祥とする由来からその名が付けられたと言われています。
その一方で、東北や北陸では、古くから「凍み(しみ)豆腐」「凍り(こおり)豆腐」として同じような乾物が郷土食材として存在しています。
その製法に多少の違いはありますが、冬の寒さを利用して豆腐を凍らせ、その後、乾燥させるのは一緒です。薄く切った豆腐をワラで縛って軒先に吊るす様子は、有数の生産地である長野などでは冬の風物詩でもあります。
ちなみに、山形県月山の「六条(六浄)豆腐」は同じように豆腐を乾燥させた物なのですが、ちょっと変わっています。
豆腐に塩を塗ってカチカチになるまで干し、これを水で戻さずに鰹節のように削って使います。日本全国には、本当に豊かな食文化が根付いているのですね。
普段何気なく使う乾物にも旬がある、とちょっと意識するだけで、日本の季節を感じながら毎日の食生活を楽しめるような気がします
さて今回は、高野豆腐を使ったあったか煮物『高野豆腐の肉詰め』をご紹介します。
ヘルシーなのにボリューム満点です。ぜひお試し下さいね。