こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
ソウルから電車で一時間の場所に、水原(スウォン)という街があります。
ここはユネスコの世界遺産に認定された水原華城(スウォンファソン)が有名な場所です。
また名物に水原カルビがありますが、このカルビが生まれた背景には水原華城の築城が大きくかかわっています。
水原は1392年から1910年まで続いた朝鮮半島の最後の王朝である、李氏朝鮮時代にゆかりの地です。
第22代国王の正祖(チョンジョ)が、権力争いの犠牲になった亡き父親のためにこの土地に墓を移し、この墓のある土地を守るために水原華城を建設したそうです
ちなみに正祖大王はソウルからの遷都も試みていましたが、かなわぬ夢となりました。
水原華城の建築には、多くの牛が木材などの運搬に使われていました。
当時、牛は貴重な労働力だったため、食べることは厳格に禁止されたのです。
しかし、建築にあまりにも多くの牛が投入された結果、途中使い物にならなくなった牛も出たため、屠畜(とちく)を許可し、建設に携わる人たちの食用になりました。
これが水原カルビの起源となります。
これにより、以降この地域では牛肉市場が発達し、水原カルビとして親しまれるようになりました。
現在の水原カルビは、骨付きのまましょうゆベースのタレで漬け込んでから網焼きにし、焼いている途中からキッチンバサミで一口サイズに切り分け、それを各個人が箸で取って葉物野菜に包んで食べるのが一般的です。
また骨の部分は、かぶり付きながらその味わいを楽しむのが醍醐味です。
ちなみに外国産(オーストラリア産、アメリカ産など)の牛肉を使用している物は価格が安く、韓牛(ハヌ)を使用している物は値段が高めですが、とろけるような食感があります
ソウル旅行することがありましたら、ちょっと足を伸ばして水原を訪れてみてはいかがでしょう。
「イ・サン」というドラマの他、様々なドラマや映画のモデルとなった正祖大王ゆかりの水原は、歴史とグルメの両方が楽しめる観光地としてオススメです
今日のレシピは、カルビ丼です。
ちょっと値ははりますが、牛肉は和牛カルビを使ってみて下さい。
丼のおいしさが格別ですよ