こんにちは、料理家の野上優佳子です。
8月後半から水揚げを開始したサンマの出荷が、いよいよ本番を迎えます。
9月の上旬にあった台風などの影響で、今年は水揚げ量が低調と言われ、どうなることかと思っていましたが、9月末頃からまとまった漁獲があり、ようやくサンマを食卓に出せたというご家庭もあるのではないでしょうか
我が家にも先日、気仙沼から見事な鮮度のサンマが到着
すばらしい味わいでした
秋の食材の代表格であるサンマにちなんだお祭りが、産地を中心に全国各地で開催されています。
水揚げ日本一と言われ「とろサンマ」で有名な根室市は、毎年9月に【根室サンマ祭り】を開催。
10月には、宮城県気仙沼で【気仙沼サンマフェスティバル】、岩手県大船渡で【大船渡サンマまつり(船場まつり)】、同じく岩手県の宮古市でも【宮古サンマフェスタ】が続々開催され、旬のおいしさを鮮度抜群の産地で満喫できます
産地でないにもかかわらず、もしかしたら日本で一番有名かも知れないサンマのお祭りが、今年も9月に東京・目黒で開催されました。
それは、【目黒サンマ祭り】です
平成8年から目黒駅前で行なわれている祭りで、今年がちょうど20周年でした。
年々人気は高まり、当日は目黒駅前の商店街を目指してできる大行列は、今では初秋の風物詩です。
しかし、なぜ目黒でサンマなの?と不思議に思いますよね
これは有名な江戸落語が起源。
鷹狩り(遠乗りの説もあり)に出かけた殿様が、お昼時に目黒の農家の軒先で炭焼きされていたサンマの良い香りに心惹かれ、食べてみたいと言い出しました。
しかし家来は「あれはサンマという庶民が食べる魚なので、お口に合いません」と説得するも、殿様は食べたいと言い張り、家来にサンマを持ってくるよう命じます。
仕方なく家来は農家から分けてもらったサンマを差し出すと、殿様がそれを食べてびっくり。
それはそれは、大変おいしかったのです
それからというもの、お城に帰ってもその味が忘れられず、「余はサンマを所望する」と言い出します。
しかしお城では庶民の魚など用意しているはずもなく、慌てて日本橋の魚河岸からサンマを取り寄せました。
そして骨を1本1本取り除き、体に悪いと脂も抜いてしまったところサンマの身はボロボロ・・・
仕方なく椀物にして出したのですが、これがちっともおいしくありません。
そこでお殿様が、このサンマはどこで買ったのかと訊ねたところ、家来が「日本橋魚河岸でございます」と返します。
殿様は家来のその言葉に、一言。
「そいつはいかん。サンマは目黒に限る。」
海とは全く縁のない目黒で捕れたサンマがうまい、と信じ込んで断言してしまったというオチの、江戸落語の滑稽物のひとつです。
この話が「目黒のさんま」という話で、目黒で開催されるサンマのお祭りのきっかけなのです。
サンマの話をしていると、脂がたっぷり乗ったサンマが食べたくなってきますね!
そこで今回は、「サンマの炊き込み御飯」をご紹介します。
個人的には、秋の食材の炊き込み御飯の中でもトップクラスのおいしさと自負している炊き込み御飯レシピです。
旬ならではのおいしさ、ぜひお試し下さい