こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
秋になるとおいしい栗が食べられますね。
この季節は栗おこわ、栗きんとん、モンブランなど、栗を使った料理やスイーツがたくさん
韓国にも栗を使った料理が数多くあります。
栗を使った韓国料理と言えば、薬食(ヤクシク)が真っ先に挙げられます。
(薬食レシピ:http://www.nasluck-kitchen.jp/recipe/index.asp?menu_id=003464)
薬食は非常に歴史が古く、韓国の伝説に登場している食べ物です。
五世紀の新羅時代の記録によると、当時の宮中で不祥事があり王様の命が危険にさらされる事件がおこりました。
そのとき王様は遠乗りの途中で目の前に現れた鳥やねずみ、豚たちの進言によって命を救われます。
この鳥たちの働きに感謝した王様は、事件のあった1月15日を祭祀とし、そのときに捧げたおこわが「薬食」なのです。
当時のおこわには、鳥が好きななつめしか入っていなかったのですが、のちに栗や松の実も入るようになりました。
現在では、冠婚葬祭の料理に必ず栗、なつめ、松の実が入り、縁起の良い食べ物のひとつとなっています
また薬食以外にも、牛肉と野菜を煮込んだカルビチム、お粥、サムゲタンなどの料理で栗が使われています。
お菓子では、蒸してから潰した栗にハチミツを混ぜ合わせ、栗の形に形成したユルラン(栗卵)が代表的です。
その他にも韓国では、日本と違って生で栗を食べることがあります
千切りにしてキムチに入れたり、生野菜と和えたりします。
初めて生を食べたときは私も衝撃的でしたが、いまではサクサクとした生栗の食感が病み付きになっています
みなさまも機会があったら一度召し上がってみて下さい
さて、そもそも朝鮮半島では、いつ頃から栗が食べられていたのでしょうか?
実は、栗を食べる歴史はかなり古く、石器時代に遡るそうです。
ソウルの岩寺洞(アンサムドン)などの遺跡から、村を作って狩猟をし、栗などの木の実を採取し暮らしていたことが分かっています。
また、中国の三国志魏書には、朝鮮半島に梨ぐらい大きな栗があったと記録が残されているのですよ
ちなみに栗は栄養的にみると、糖質の代謝を促すビタミンB1が豊富です。
つまりは糖質であるご飯を分解してくれるので、栗ご飯は理に適っているということですね
またナトリウムを排出するカリウムも多く、血圧を下げる働きがあります。
話題のポリフェノールの一種であるタンニンが多く、抗酸化作用により風邪をひきにくくなり、さらにはアンチエイジングにも繋がると期待されています
通常、熱に弱いビタミンCですが、栗についてはでんぷんで守られているので、加熱によって壊れることがありません。
栗は栄養満点なおすすめ食材……と言いたいところですが、実はカロリーが高めの食材ですのでたくさん食べ過ぎないようにご注意下さい
大きさにもよりますが、適量は一日3〜4粒程度です。
それでは本日のレシピは、「栗となつめの炊き込みご飯」です。
松の実も入れて、縁起の良い食材を揃えました
日本の炊き込みご飯と違う点は、最初に味を付けずタレをかけながら頂くこと
味を調節しつつ食べられるので、自分好みの味に仕上がりますよ
ぜひ作ってみて下さいね