こんにちは!料理家の竹内ひろみです。
先日、本を読んでいた子供から突然「何で、ゼリーを作るときに生の果物(パイナップルなど)を加えるとゼラチンが固まらないの?」と質問がありました。
みなさんはその理由を知っていますか?
実はパイナップルやキウイフルーツ、メロンなどの果物には、タンパク質を分解してしまう酵素が入っているため、タンパク質を主成分としているゼラチンは固まらないのです。
しかし知識だけを教え、「そうなんだ……」で終わってしまうのはもったいない
そこで、実際に体験することでもっと興味を持って欲しいと思い、実験をしてみることにしました
生のパイナップルと加熱したパイナップル(砂糖をふりかけさっとソテー)を用意し、子供と一緒にゼリーを作ってみることに
やはり生のパイナップルが入った物は固まらずいつまで経っても液体のままですが、加熱したパイナップルを入れた物はきちんと固まっていました
これは加熱することでパイナップルの持つ酵素が壊れ、タンパク質を分解する働きがなくなってしまうためです。
本に書いてあったことが実証され、子供も「面白い」と作り方への理解が深まったようでした。
机上で覚えた知識は忘れてしまうことが多いのですが、こうして実際にやってみると知識が身に付きますね
子供と一緒に料理をするときは、「なぜそうするのか」や「なぜそうなるのか」といった、理由をしっかり教えて上げると良いですよ
調理科学を説明しながら作ると覚えが早く、ひとりで料理を進めることができるようになっていきます
また、これは子供だけではなく、大人にも言えることです
例えば青菜をゆでるときに、沸騰した湯に塩を加えると色良く仕上がります。
これは、青菜に含まれるクロロフィル(葉緑素)は加熱すると色あせてしまうのですが、塩のナトリウムイオンと結合することでそれを防ぎ、変色せず緑色が保てるからなのです。
料理をするときに、そのことを説明してから調理すると、ひとりで調理するときにも塩を忘れずに加えてゆでることができます
料理は、感覚でやっているといった方や、本に書いてあるから、人に教わったからそうしているといった方が、結構多いとは思います。
しかし、「なぜそうするのか」といったことや、「なぜそうなるのか」といった調理科学を知っていると、失敗なくおいしい料理が作れるのでおすすめです
ゼリーの実験をしたあとで、ちょうど子供が家庭科でご飯を炊く実習があるということで、おいしくできるようご飯の炊き方を伝授しました
そのポイントはこちら↓です研ぎ方のコツ
乾いたお米は水を吸収しやすくなっています。
そのためお米を研ぐときには、最初の水はぬかの臭みがお米に移らないように、手早くかきまぜてすぐに捨てましょう浸水する意味
研いだお米は、しばらく水に浸けておきます。
お米は水に浸けることででんぷんが分解され、米の内部まで熱が伝わりやすくなり、ふっくらとしたご飯が炊けます炊くときの火加減
難しいと言われる炊くときの火加減ですが、土鍋や厚手の鍋なら沸騰するまでは強火、沸騰したら弱火でOKです。
土鍋や厚手の鍋は昔の羽釜のように熱の伝わりが遅く、またガスはカマドの火より強くないので、最初から強火で炊いた方がおいしく炊き上がります
ご飯を炊くときのポイントを作りながら伝えたところ、実際の授業で「とてもおいしくご飯が炊けた!」と子供からうれしい報告が
ぜひぜひ、みなさんも調理の「なぜそうするのか?」「なぜそうなるのか?」を理解して、お料理をしてみて下さいね。
それでは今回ご紹介するレシピは、小松菜を使った「青菜と豆腐のざっくり和え」です。
小松菜はさっとゆでたあと、しょうゆ洗いをし余分な水分を切り水っぽさを少なくしています。
しょうゆ洗いとは塩分の浸透圧を利用し余分な水分とともにアクや臭みを取り除く、調理科学に基づく下処理です。
方法は、食材にしょうゆを少量まわしかけて絞るだけですが、この一手間がさらにおいしくしてくれますよ
ぜひ、試してみて下さい