こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
日本からとても近い韓国ですが、食文化ひとつ取ってもその違いはたくさんあります。
例えば食材です。
日本ではマイナーな物でも、韓国ではポピュラーな食材が多く存在します。
その中のひとつが、ムール貝です。
韓国語ではムール貝のことを「ホンハプ」と言い、「ホンハプタン(ムール貝スープ)」は居酒屋や屋台メニューとして広く浸透しています
韓国におけるムール貝の歴史は朝鮮時代まで遡り、1715年頃の料理書である「山林経済」にはすでにムール貝を使ったお粥の作り方が記載されていました。
当時はまだ王政で、王様は早朝に必ずお粥を食べていたので、多彩な食材で味の変化を付ける必要があり、そのひとつにムール貝が使われていたと思われます
ムール貝を使った料理には、スープやお粥以外に、炊き込みご飯、しょうゆの煮付け、チヂミなど数多くのメニューがあります。
生の物に限らず、乾燥させたムール貝も市場に多く出回っていることからも、韓国の人にとってムール貝が使い勝手の良い食材だということがうかがえますね
主だった産地は韓国南部にある全羅南道(チョルラナムド)の麗水(ヨス)市で、2012年には万博が行なわれたエリアです。
そこはワタリガニや牡蠣が特産物として有名ですが、ムール貝の養殖も盛んです。
ムール貝の栄養面に注目すると、二日酔いを予防するタウリンを豊富に含んでいるのが特徴です。
居酒屋のメニューにムール貝のスープがあるのも、お酒を飲んだあとに食べると良いからかも知れませんね。
ムール貝のスープは、韓国の「ヘジャングク」に当たります。
ヘジャングクとは「二日酔い冷ましのスープ」の総称で、肝臓の働きを強化するすべてのスープが該当します。
豆もやしのスープや、干し鱈のスープなども同様の効果があるとされています。
また、ムール貝は生命力がとても強いので、食べると疲労回復につながると言われています
さらに、鉄分、葉酸、カリウムなどのミネラル、ビタミンB2、B12、E、たんぱく質など女性にとって嬉しい成分もたくさん含まれています。
また、脂肪分が少ないため、日頃の食事に取り入れたい食材と言えるのではないでしょうか
さて今回のレシピは、韓国ではお馴染みのムール貝スープをご紹介します。
今回は手軽に作れるように冷凍のムール貝を使用しますが、もちろん手に入れば生の物でもOKです
ただし、加工されていないムール貝の調理には以下のような下処理が必要です。貝殻の表面は、たわしでよくこすって汚れを洗い落とす。
貝の合わせ目から糸のような物(足糸/ソクシ)が出ているので、これをゆっくりと引き抜く。
足糸は食べられませんので、注意して下さいね。