こんにちは、料理家の野上優佳子です。
2月に入ってから約半月程の期間、ベルギーを中心にヨーロッパへ行ってきました
ひとつは留学中の長女の顔を見るために、もうひとつは仕事に関する視察のために
ベルギーの他、ドイツやオランダ、そしてデンマークとスウェーデンの計5カ国を鉄道や飛行機でのんびり巡りました。
特に長く滞在したのは、ベルギーの首都ブリュッセルから特急列車で30分程のゲント(Gent)という都市です。
料理家という職業柄もあってか、私は旅行に出かけた先の食文化がとても気になります
ここゲントは食という視点から見ても、興味深いことがたくさんありましたので一部ご紹介します。
ゲントは花の都市とも呼ばれる古都で、ブリュッセル、アントワープに次ぐベルギー第3の都市です。
街はレイエ川とスヘルデ川が合流する地点に広がり、中世の歴史的建造物が今も建ち並ぶ旧市街エリアと、現代的な新市街エリアが共栄している、美しく穏やかな所でした
旧市街には15世紀ころ肉市場だった建物が残っており、現在はレストランとして営業しています。
肉市場の名残なのか、天井からたくさんのハムがぶら下がっており、珍しい光景だったので写真を撮りました
それがこちらです。
ベルギーはビールの産出国としても有名ですが、ホップを原料としたビールが一般的なのに対し、ゲントの「Stadsbrouwerij Gruut(スタッズブラウウェレイ グルート)」というビール醸造所では、ハーブを使った数百年前のビールレシピを再現し、提供しています。
また、ゲントはブリュッセルワッフル発祥のティーサロンである「MAX」や、200年変わらぬ製法でマスタードを作り続ける老舗「Tierenteyn-Verlent(ティーレンタイン・フェルレント)」があったり、ベルギー料理のひとつ「Waterzooi(ワーテルゾーイ)」の発祥の地でもあり、歴史深い食文化が脈々と受け継がれてきた土地なのだと感じました。
一方古きを重んじるだけでなく、ゲントでは市を挙げて革新的な活動もしています。
2009年にベルギー国内ではゲント市が初めて「Tursday Veggieday(菜食の木曜日、肉を食べない日)」を提唱しました。
毎週木曜日はゲント市内の公共機関や公立学校で肉料理の提供を禁止し、健康や環境に影響を与えるとされる「肉食」を週一回取り止めようという取り組みです。
この取り組みは世界的な広がりを見せる活動のひとつで、国際的な問題に市を挙げて取り組んでいることに驚きました。
ゲントの街並み同様、食文化でも伝統と革新が手を取り合っているなんて素敵だなぁと感激しました
さて、今回ご紹介するレシピは、ゲント発祥の「Waterzooi(ワーテルゾーイ)」というチキンのクリーム煮のようなお料理です。
元々は川魚を使って作られていたそうですが、今ではチキンが一般的。
発祥ということもあり、ゲントではあちらこちらのレストランのメニューにあり、食べ比べできる程です。
野菜と一緒に煮込んだ優しい味わいは、私たち日本人の口にもとても良く合います。
ぜひお試し下さいね