こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
朝鮮半島で初めてハングルで書かれた料理書は、1670年頃に刊行された「飲食知味方(ウンシクティミバン)」です
現在は慶尚北道(キョンサンプクド)の英陽(ヨンヤン)で、貴族の宗家(チョンガ)である載寧李氏(チェリョンイシ)が暮らし、長男の嫁である宗婦(チョンブ)が当時の料理を再現しています。
私は2度訪れ、見て味わうことで変遷する韓国料理の原型を垣間見ることができました
貴族の伝統料理には、ゆでた雉肉やゆで汁を、いろいろな料理に応用するといった特徴があります。
応用料理のひとつである「ヌルミ」は、日本語に訳すと「あんかけ」。
雉肉のゆで汁をベースに、薄口しょうゆ、コショウ、山椒の粉で味付けをし、小麦粉でとろみを付けた物です。
飲食知味方の時代は、朝鮮半島に唐辛子が入っていたものの、まだ食用ではなかったので、辛味を出すためにショウガや山椒がたびたび使われていました。ここで、ヌルミ料理をいくつかご紹介致します。
冬瓜のあんかけ
ゆでたダイコン、イワタケ、シイタケ、粗毛乾茸(アラゲカワキタケ)を混ぜ合わせた具を、薄切りにして塩漬けにした冬瓜で包み、あんをかけた料理。干し鱈の皮のあんかけ
干し鱈の皮を、シュウマイのような皮にみたてた料理。
イワタケ、シイタケ、粗毛乾茸(アラゲカワキタケ)、雉肉をみじん切りにして混ぜ合わせて具にし、干し鱈の皮で包みゆでたあと、あんをかけます。雉肉のあんかけ
雉肉とゆで汁の両方を使った料理。
手で割いたゆで雉肉に、キュウリ、栗、白身と黄身の錦糸卵を飾り、あんをかけます。
現代の韓国では、あんかけ料理をあまり見ないので、ヌルミは伝統を感じます
さて、本日は、「白身魚のあんかけ」をご紹介致します
あんかけに雉肉のスープは使いませんが、白身魚自体に旨みがあるので、出汁がなくても十分においしく頂けますよ。
皆さんも、ぜひお試し下さい