こんにちは、料理家の野上優佳子です。
寒い季節になると我が家の食卓にも登場する頻度が、ぐんと高くなるメニューがあります。
そのひとつが『グラタン』です。
クリーミーで、様々な野菜との相性も良く、我が家の子どもたちの大好物なメニューですね。
グラタン(gratin)のルーツはフランス料理と言われています。
『フランス料理ハンドブック』(柴田書店) によれば、gratiner(グラティネ)とは
「料理の仕上げに、表面にパン粉やすりおろしたチーズをふりかけ、オーブンやサラマンドルで表面に焼き色を付ける」
という意味です。
※サラマンドルとは・・・扉や両側の壁がなく上火だけのオーブンのような物で、表面に焼き色を付けるために使用する器具のことです。
皆さんは、日本における本格フランス料理 の父とも言われる、横浜のホテル・ニューグランドの初代総料理長サリー・ワイル氏をご存じでしょうか。
ワイル氏は、ドリアの生みの親であるとも言われている人物です。
そのためかホテル・ニューグランドの開業当時のメニューに、ビーフ・ストロガノフやリゾットなどと共に、オニオングラタンや他のグラタン料理が登場していました。
またワイル氏が来日したのは1927年(昭和2年)ですが、
当時のレシピ本を見てみると、翌1928年発行の『家庭料理法大全』(日比書院)には、すでに家庭で実行できる「日支洋折衷料理」なるものが紹介されていてました。
その中には調理法としてのグラタンや、「クワイのグラタン煮」といったメニューがあったようです。
そのまた翌1929年発行『料理相談』(鈴木商店出版部)にも西洋料理の作り方のひとつに
「マカロニのグラタン」が登場します。
この料理本は、鈴木商店が内外料理相談所を設立した際に、そこに寄せられた18,600あまりの質問を、読者からの要望に応じ問答集作成として刊行した本だそうです。
読者の質問にあったということは、グラタンが西洋料理店で食べる物から、少しずつ家で作って食べる物へ浸透していこうとする気配を見てとることができます。
そして現在では、もはや西洋料理ではなく、家庭料理のひとつとして私たちの食生活に定着をしていますね。
さて今回は、冬至も間近ということで『カボチャのミートグラタン』をご紹介します
ホワイトソースでなく、トマトケチャップを使って手軽に作ったミートソースで頂きます。
ぜひお試し下さいね