こんにちは、料理家の野上優佳子です。
皆さんは、疲れているときに甘い物が食べたくなったりしませんか?
私は、仕事で行き詰まったときに、無性に甘い物が食べたくなります。
世間で「先生」と言われる偉い文豪の方々も、甘い物に目がない人が多かったようで、その代表格はなんと言っても夏目漱石でしょう。
『吾輩は猫である』に登場する飼い主の先生には、下宿時代には毎晩屋台の汁粉を食べたと思い出話を語り、結婚後は1ヵ月でジャムを8缶(!)も舐め妻から咎められる場面があります。
それはまるで漱石自身のよう
当時出回り始めたジャムがいたく気に入った漱石は、毎日のようにジャムを舐め、医師に止められる程だったと言われています。
『草枕』の中でもその甘党ぶりは垣間見られます。
「余はすべての菓子のうちでもっとも羊羹が好きだ。別段食いたくはないが、あの肌合が滑らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は、どう見ても一個の美術品だ。」と羊羹を大絶賛。
実はこの甘味好きが、胃弱の原因だったと言われているのです。
また、漱石と肩を並べる文豪、森鴎外も意外にも甘党で、「饅頭茶漬け」なる物を好物だったと言われています
「饅頭茶漬け」とはその名の通り、ご飯の上にあんこ入りの饅頭を2つか4つに割って乗せて、煎茶をかけてサラサラっと食べる物なのだとか。
娘さんたちがエッセイにその姿を記しており、あっさりとしたお汁粉(しるこ)のような味わいなのだそうです。
芥川龍之介は、菓子メーカーの雑誌に「しるこ」という随筆を書いています。
かつてあった汁粉屋や、今も浅草にある「梅園」のことに触れながら、汁粉屋が減ってしまったことを、「これは僕等下戸仲間の為には少なからず損失だ」と大いに嘆いています。
いつの世も、甘い物は人の心を魅了しますね
さて今回は、数ある甘い物好きの文豪の中でも飛び抜けている夏目漱石先生へ敬意を払い、漱石の大好物で家計に響く程食べ過ぎたジャムのレシピをご紹介します
漱石先生はイチゴジャムを好んで召し上がったようですが、私は1年中気軽に手にいれられるキウイジャムをおすすめします。
ぜひお試し下さいね