こんにちは、料理家の野上優佳子です。
近年、日本では馴染みの薄い野菜を、スーパーや道の駅などで見かけるようになりましたね
クリスマスツリーのような形をしたロマネスコや、大きな蕾(つぼみ)のような形をしたアーティチョーク、細かな水滴が付いたような葉をしたアイスプラントなど
珍しい西洋野菜が国内でも栽培されるようになったお陰で、食材を選ぶ選択肢が増え、お料理の幅がどんどん広がっています。
そこで今回は、スーパーなどで見かける珍しい野菜の中でも、この時期にオススメの「ビーツ」についてご紹介します
ビーツは英名ではテーブルビートと呼ばれている根菜の一種です。
カブのような形状をしていますが、ホウレンソウと同じアカザ科の植物で、サトウダイコンの仲間です。
根の部分にショ糖を多く含むので、カブやダイコンよりも甘みが強い特徴があります。
春と秋に種を蒔き、1年に2度収穫ができる植物で、秋採りの物はまさに今が旬です
ビーツは様々な種類がありますが、日本で一般的なのが赤色の物でしょう
赤色ビーツはもともと赤紫色と黄色の色素を含む物ですが、切ったりゆでたりすることで、その色素が溶け出す性質を持っています。
その性質を活かした代表的な料理と言えば、ロシアやウクライナの煮込み料理で有名なボルシチです。
実はボルシチの鮮やかな赤色は、ビーツから出てきた色なのですよ
また、ビーツはとても栄養が豊富な野菜で、「食べる輸血」と呼ばれることもあります
野菜には珍しく、リンやマグネシウム、カルシウム、鉄、カリウムなどを豊富に含むため、貧血予防にも効果が期待できると言われているのです。
北米やヨーロッパ圏では日常的にビーツを食べており、スーパーに行けば写真のように黄色い物や断面が縞模様の物など、いくつもの品種が並んでいます。
食べ方も、シチューやサラダ、ディップ、ムース、マリネなど。
鮮やかな色を活かして、様々な料理に活用しているようです。
ビーツは野菜として食べる他に、もうひとつ使い道があります。
それは天然の着色料として活用することです。
我が家では、ビーツを酢漬けにしてよく食べるのですが、真っ赤に染まったその漬け汁をご飯に混ぜて酢飯にすることも
こうすることで、合成着色料なしでもご飯がきれいなピンク色になり、ひな祭りのちらし寿司や祝いの席の海苔巻き、またライスサラダなど、華やかなイベントを彩(いろど)るすし飯にピッタリです
酢漬けの漬け汁ではなく、ビーツのゆで汁で着色すれば酸っぱくならず、様々な食材の着色にも使えますよ
さて、多彩に使えるビーツですが、調理するときにはいくつか注意が必要です。
今回はそちらもご紹介します
ビーツは非常に硬く、生で食べると独特の臭みが少しある野菜です。
そのため、食べる前や調理する前に下ごしらえをすることをお忘れなく
丸ごとゆでて下処理をすることで、臭みが抑えられ食べやすくなりますよ
また下処理をするときに注意したいのが、皮付きのままゆでること。
皮をむいてからゆでると色素が溶け出しやすくなり、せっかくのきれいな色がゆで汁の中に溶け出してしまいます。
そのため、着色料にするときは切ってからゆでたほうが良いですが、下ごしらえとしてゆでる場合は皮付きのままゆでましょう
やわらかくなるまで下ゆでしたあとは、お好みの大きさに切ってサラダやスープの具としてお使い頂けます。
栄養豊富で様々な使い方のできるビーツは、今注目の野菜です
スーパーで見かけたらぜひ購入してみて下さいね
さて今回は、「ビーツのサラダ」をご紹介します。
ピーツの色鮮やかな赤とイタリアンパセリの緑のコントラストが美しい逸品です。
ライムとクミンの利いたドレッシングは癖になる味わい
とても爽やかなサラダは、お肉料理の付け合わせにもぴったりです。
ぜひお試し下さい