2015年11月の記事
こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
秋になるとおいしい栗が食べられますね。
この季節は栗おこわ、栗きんとん、モンブランなど、栗を使った料理やスイーツがたくさん
韓国にも栗を使った料理が数多くあります。
栗を使った韓国料理と言えば、薬食(ヤクシク)が真っ先に挙げられます。
(薬食レシピ:http://www.nasluck-kitchen.jp/recipe/index.asp?menu_id=003464)
薬食は非常に歴史が古く、韓国の伝説に登場している食べ物です。
五世紀の新羅時代の記録によると、当時の宮中で不祥事があり王様の命が危険にさらされる事件がおこりました。
そのとき王様は遠乗りの途中で目の前に現れた鳥やねずみ、豚たちの進言によって命を救われます。
この鳥たちの働きに感謝した王様は、事件のあった1月15日を祭祀とし、そのときに捧げたおこわが「薬食」なのです。
当時のおこわには、鳥が好きななつめしか入っていなかったのですが、のちに栗や松の実も入るようになりました。
現在では、冠婚葬祭の料理に必ず栗、なつめ、松の実が入り、縁起の良い食べ物のひとつとなっています
また薬食以外にも、牛肉と野菜を煮込んだカルビチム、お粥、サムゲタンなどの料理で栗が使われています。
お菓子では、蒸してから潰した栗にハチミツを混ぜ合わせ、栗の形に形成したユルラン(栗卵)が代表的です。
その他にも韓国では、日本と違って生で栗を食べることがあります
千切りにしてキムチに入れたり、生野菜と和えたりします。
初めて生を食べたときは私も衝撃的でしたが、いまではサクサクとした生栗の食感が病み付きになっています
みなさまも機会があったら一度召し上がってみて下さい
さて、そもそも朝鮮半島では、いつ頃から栗が食べられていたのでしょうか?
実は、栗を食べる歴史はかなり古く、石器時代に遡るそうです。
ソウルの岩寺洞(アンサムドン)などの遺跡から、村を作って狩猟をし、栗などの木の実を採取し暮らしていたことが分かっています。
また、中国の三国志魏書には、朝鮮半島に梨ぐらい大きな栗があったと記録が残されているのですよ
ちなみに栗は栄養的にみると、糖質の代謝を促すビタミンB1が豊富です。
つまりは糖質であるご飯を分解してくれるので、栗ご飯は理に適っているということですね
またナトリウムを排出するカリウムも多く、血圧を下げる働きがあります。
話題のポリフェノールの一種であるタンニンが多く、抗酸化作用により風邪をひきにくくなり、さらにはアンチエイジングにも繋がると期待されています
通常、熱に弱いビタミンCですが、栗についてはでんぷんで守られているので、加熱によって壊れることがありません。
栗は栄養満点なおすすめ食材……と言いたいところですが、実はカロリーが高めの食材ですのでたくさん食べ過ぎないようにご注意下さい
大きさにもよりますが、適量は一日3〜4粒程度です。
それでは本日のレシピは、「栗となつめの炊き込みご飯」です。
松の実も入れて、縁起の良い食材を揃えました
日本の炊き込みご飯と違う点は、最初に味を付けずタレをかけながら頂くこと
味を調節しつつ食べられるので、自分好みの味に仕上がりますよ
ぜひ作ってみて下さいね
こんにちは。料理家のひろろこと竹内ひろみです。
野菜、乾物類、肉類、穀類など、毎日使う食材は多岐にわたります。
余ることなく使い切れる食材と、使いかけのまま余ってしまう食材ってありませんか?
それぞれよく使う食材とそうでない食材はあると思うのですが、少人数のご家庭ですと特に切り干し大根や車麩(くるまふ)、かんぴょうなどの乾物は一度に使い切れないことがありますよね。
調理の定番が和風の煮物しかパッと思いつかない食材となると、使う用途が広がらず、ついつい使いかけをクリップで留めたまま保存棚に置き忘れて賞味期限が切れてしまったなんてことが……
そんなときは、お料理のバリエーションを広げ、食卓に上がる回数を増やしてあげることをおすすめします!
和食、洋食、中華、エスニックと様々なテイストに変えたり、焼く、揚げる、生で頂くなど調理方法を変えたりすることで、料理に使う回数が増え、保存棚に置き忘れることを防げるのです!
例えば、切り干し大根。
煮物のイメージが強いですが、意外にアレンジができる食材です。
ざるに上げてさっと水をかけて戻し、千切りにしたキュウリやニンジンなどと一緒にドレッシングで和えれば、サラダ感覚で頂けます。
また、野菜と一緒に炒めて中華風の味付けにし、春巻きの皮で巻いてカラリと揚げれば、ベジ春巻きのできあがりです。
春巻きにすると、普段は切り干し大根をなかなか食べてくれないキッズもパクパクと食べてくれるのでおすすめ
車麩もお料理のバリエーションが広い食材です
和食のイメージが強い食材ですが、スープで戻してパン粉を付けて揚げると洋風のお惣菜に早変わりします
目先をちょっと変えてみると、料理の幅が広がるので調理するのも楽しくなっちゃいますよ
また、だしを取ったあとの昆布や干しシイタケですが、きちんと食べられるのにそのまま捨ててしまうのはもったいないですよね
そこで我が家では、千切りにして醤油とみりんで煮ることが多いです。
甘辛く煮てあげることで、ご飯に合う小鉢になりますよ。
また、甘辛く煮るだけではなく、もう一手間掛けてあげるのもおすすめです
いつも同じ味では飽きてしまいますから、コチジャンを加えてピリカラにしてみたり、ごまや砕いたナッツを合わせたり、豚肉と一緒にソテーしたりと、味付けや食材の組み合わせをちょっと変えると料理のバリエーションが広がります
いろいろと組み合わせを変えてみて、「我が家オリジナルの味」を創ってみて下さいね。
それでは改めて、今回のレシピのご紹介です。
今回のレシピ「揚げ車麩のトマトソース添え」は、モチモチ感のある揚げ車麩とトマトソースが相性バツグンの一品
お肉に負けないボリューム感が嬉しいレシピですので、ぜひ試してみて下さいね
こんにちは、料理家の野上優佳子です。
そろそろ朝夕の冷え込みが厳しくなってきました
空気が乾燥しやすく、風邪も流行りやすい時期ですので皆さんお気をつけ下さいね。
さて今ぐらいの時期になると、保存食作りが各地で始まります。
現在のように栽培技術や物流が発達する以前は、特に山間部の冬は食糧確保が難しくなるため、保存食作りはとても大切な越冬
の用意でもありました。
干物や乾物、塩漬け、酢漬け、発酵食、糖蔵品、薫製など。
一定期間、変質や腐食することなく食べることができるように工夫された保存食は、まさに先人の知恵が詰まった技術と言えるでしょう。
空気が冷たく乾燥する時期は、乾物作りにはもってこい。
一年中出回る乾物の旬は、まさにこれからです。
例えば干しダイコンもそのひとつ。
私はあまり食材の買い置きをしないのですが、これは必ず家に置いておきます。
切り干しダイコンを常備しておくと、突然何か一品作りたいと思ったときにとっても便利なのです。
一口に干しダイコンと言っても、実は切り方や乾燥のさせ方によって、全国各地で色々と違いがあります。切り干しダイコン(写真向かって左手)
生のダイコンを千切りにして干したもので、宮崎県が国内シェア1位。
一番ポピュラーかもしれません。
関西地方では「千切りダイコン」と呼ばれています。ゆで干しダイコン(写真向かって右手)
ダイコンを短冊切りにしてゆでたものを乾燥させたもの。
長崎県などで作られています。割り干しダイコン
生のダイコンをタテに4〜8等分に切って干したもの。
ハリハリ漬けに利用される「花切りダイコン」も、割り干しダイコンのひとつです。寒干しダイコン
輪切りのダイコンをゆでてから串刺しにして干したもの。
真冬の氷点下の寒さで天然のフリーズドライにしたもので、北陸地方の山間部などで作られています。蒸し(切り)干しダイコン
干す前、もしくは干している最中に、一度蒸してから干して乾燥させたもの。
神奈川や、長野県などの山間部で作られており、一度蒸すことでダイコンが飴色になり甘みが増すと言われています。凍みダイコン
ダイコンを適当な長さに切って輪切りまたはタテ半分にし、ゆでてから雪の上に並べて凍らせたあとで干したもの。
東北の寒い地域で作られ、高野豆腐のように味がよくしみるので、生のダイコンの代わりに煮物などに入れて食べられています。
このように、同じ切り干しダイコンでも地域によって、切り方や工程に違いがあり、それに伴って調理の仕方にも違いがあるのです
気候や風土に寄り添って生まれる郷土食の奥深さを窺い知ることができ、本当に興味深いですね
さて今回は「切り干しダイコンのゴマ酢和え」をご紹介します。
切り干しダイコンさえ常備しておけば、お野菜が足りないなと思ったときに手早く作れる簡単レシピです。
ぜひお試し下さいね