正確な回数は分かりませんが、私が今まで韓国を訪れたのは50回程だと思います

首都ソウルだけでなく、東西南北の地方都市へも度々足を運びましたが、今年のはじめまで未踏の地がありました。
それは韓国最南端の島「済州島(チェジュド)」です

かつて韓国の人にとって海外旅行が一般的ではなかった頃、新婚旅行先と言えば済州島で、韓国のハワイと称される程、韓国本土とは異なった文化を築いていました。
食文化も例外ではなく、ひと昔前までは済州島独自の食文化が形成されていましたが、飛行機の往来が活発となった現在では、本土の食材が島にどんどん入ってきています

しかしその逆で、済州島の島民の半分が畑を持っていると言われるみかん(キュル)やデコポン(ハルラボン)などは、収穫量や消費期限の問題で、済州島以外での流通が難しいようです

そんな済州島の名物のひとつに、「ミナミアカザエビ」があります。
ミナミアカザエビは韓国語で「タクセウ」と言い、見た目はザリガニ、シャコのような海産物。
日本の四国以南、黄海、東シナ海からフィリピン沿岸周辺、水深200m程度の砂底に生息しています。
以前は、殻が固くて調理するのが少々不便なミナミアカザエビは、済州島ではもっぱらスープの出汁に使うことが多かったそうです。
最近になって、観光客向けにと用途を広げ、鍋料理の具に使うようになり、話題の食材に変わりました


ミナミアカザエビのおいしさをダイレクトに感じられるのは、蒸した物。
昨年、韓国の情報番組で、人気俳優たちがミナミアカザエビの蒸し料理を紹介したことで、お店には韓国本土からもお客さんが訪れるようになったのだとか

私も噂を聞きつけて予約なしでお店に行ったところ、1時間以上待ってやっと食べられました。
韓国の人はせっかちなので、行列のできるお店は確実においしいのです

テーブルに案内されると、ミナミアカザエビの固い殻を割って食べるための木製のトンカチとカニフォークが並べられていました。
しばらくすると注文の品が運ばれ、店員さんがバケツから豪快に蒸したミナミアカザエビをばさっとテーブルの上に放ちました

私たちはこれまた豪快にトンカチで殻を割りながら、サワークリームソースに付けて食べることの繰り返し

ほとんど会話せず、黙々と食べる姿は、なんだかカニを食べるときと同じでした

エビの身自体に味があるため、何も付けなくてもおいしいのですが、ソースの程良い酸味がアクセントになって、つい食べ過ぎてしまいました。
もし済州島へ行く機会がありましたら、ミナミアカザエビ(タクセウ)料理を試してみて下さいね!
さて今回のレシピは「エビのピリ辛揚げ(セウカンジョン)」をご紹介します。
韓国には、揚げた鶏肉をピリ辛のタレに絡めるタッカンジョンという料理があります。
このピリ辛のタレが、エビのおいしさをさらに引き出してくれるアレンジレシピです

ご飯のお供に、お酒のおつまみにと重宝します

ぜひお好みの辛さで作ってみて下さいね


こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
私が初めて韓国を訪れたのは1991年。
海外旅行が趣味だったので、韓国は数ある旅先のひとつでした。
韓国で食事をしたときに、「肉と海鮮を組み合わせた料理」が豊富にあり、韓国独自の料理や味付けに興味を引かれ、これは和食にはないと気付きました
初めて牛肉とタコの入った辛味のあるスープを口にしたとき、意外に合うものだと小さな感動を覚えたのもこの時
日本料理の中では、コレといった肉と海鮮を組み合わせた料理が思い浮かびません。
韓国で肉と海鮮を一緒に使う料理はそれ程歴史が深くなく、朝鮮時代後期からのようです
しかし、朝鮮時代の末期1800年代後半に編纂された料理本「是議全書(シイジョンソ)」に、肉と海鮮を組み合わせた宮廷料理「悦口子湯(ヨルクジャタン)」の記述があります。
悦口子湯は、現在でも宮廷料理として親しまれている神仙炉(シンソンロ)に当たる物です。
神仙炉はとても手間がかかる宮廷の鍋料理。
私が韓国で習った作り方をご紹介しますと、まず牛肉から丁寧にスープを取ります。
具にはスープを取ったゆで肉をスライスした物、小さな肉団子、白身魚や芹などの野菜で作るジョン(チヂミ)、薄皮を丁寧に取り除いたクルミやぎんなんなどが入ります。
是議全書の再現本によると、当時はさらに豪華な食材を使っていたようです。
肉類は牛肉に加えて、豚肉、キジ肉と三つの内臓。
そして、海鮮はナマコやあわびも入っていました。
様々な食材が組み合わされ、複雑な味わいの鍋だと想像できますね。
その他の肉と海鮮を組み合わせた料理と言えば、韓国の南部に伝わる「三合(サマプ)」です。
三合は、発酵させたエイ、ゆで豚、熟成キムチを組み合わせた料理です。
発酵させたエイは貴重な食材で、南部地方ではお祝いの席で食べる風習があるのですが、これが鼻をつまみたくなるくらい独特な臭いを放っていて、韓国人でも苦手とする人がいる程です
もとは発酵させたエイだけを食べていましたが、肉とキムチの旨味が組み合わさることで相乗効果を生み、意外においしく食べられます。
肉と海鮮を組み合わせたことにより、料理の幅が広がって食べやすい料理になったのです。
料理の歴史を紐解いていくと、現在の形に変化した理由を知ることができて、面白いですね。
さて、本日のレシピは「イカとサムギョプサルのピリ辛炒め」です。
肉(豚肉)と海鮮(イカ)を組み合わせたスタンダードな一品。
肉と海鮮、辛さ、それぞれの旨味が組み合わさった相乗効果の味わいをぜひお試し下さい
こんにちは!
管理栄養士/フードコーディネーターの吉田由子です。
秋の運動会&行楽シーズンですね。
この時期は、お弁当を作る機会が増えますが、お弁当の定番おかずと言えば……唐揚げという方も多いかと
皆さんは鶏肉の唐揚げを作るときは、どの部位を使いますか?
もも肉やむね肉が定番かと思いますが、手羽肉を使った「チューリップ」という唐揚げもおすすめです。
唐揚げで手羽?とあまりピンと来ない方もいるかもしれませんが、昔は手羽も唐揚げの定番部位だったのですよ
そこで今回のブログは鶏の手羽肉についてご紹介します
鶏手羽とは、鶏肉の翼の部位のことです。
画像では、右側から「手羽元」「手羽中」「手羽先」の順に並んでいます。
■手羽元(てばもと)
翼の付け根の部分で、別名「ウィングスティック」と呼ばれています。
手羽肉の中では一番肉の部分が多く、肉質がやわらかいのが特徴です。
■手羽中(てばなか)
手羽先の先端にある尖った部分(手羽端)を関節で切り落とした部位で、手羽先の一部分でもあります。
つまり、手羽先=手羽中+手羽端ということになります。
冒頭で触れた「チューリップ」は、主に手羽中を使って作ります。
「チューリップ」は、手羽中に切れ目を入れて骨を1本抜き、肉をひっくり返し、形を整えて作ります。
唐揚げにすると骨が持ち手になって食べやすいので、パーティーやお弁当に重宝するのです。
私が子どもの頃は、唐揚げと言えば「チューリップ」が定番でした。
しかし、最近はもも肉やむね肉に比べて調理に手間がかかるなどの理由で、チューリップの唐揚げは家庭でも店頭でもマイナーな存在になっているそうです。
慣れ親しんでいた身としては、少し寂しいですね
ちなみに手羽中を開いた物や、手羽中を串に刺した物は焼鳥屋では「イカダ串」と呼ばれています。
また、手羽中を二つに割った物は「チキンリブ」と呼ばれています。
■手羽先(てばさき)
手羽の先の部分で、肉の部分は少ないのですが、ゼラチン質と脂肪を多く含んでいます。
手羽元に比べ、皮の部分が多いためカロリーは高めですが、コラーゲンとビタミンAが多く含まれており、美肌効果が期待できます。
コラーゲンは、熱を加えると溶け出す性質があるので、骨ごとじっくり煮込んでスープなどにし、汁ごと食べるなど効率良く摂取するのがおすすめです。
コラーゲンの生成を助ける働きのあるビタミンCを含む、ニンジンやダイコンなどと一緒にスープにすると良いでしょう。
煮ても良し焼いても良し
揚げても良し
の、おいしくリーズナブルで美肌効果の高い鶏手羽肉
ぜひ食卓に取り入れてみて下さいね
さて今回は、そんな鶏手羽を使った「鶏手羽のバーベキューグリル」をご紹介します。
レシピでは手羽中を使用し、子どもから大人まで好きなピリ辛の味付けにしてみました。
おつまみやお弁当にもオススメの一品ですので、ぜひ作ってみて下さいね
こんにちは!
管理栄養士/フードコーディネーターの吉田由子です。
今年は、8月にリオデジャネイロ五輪が開催され、アスリートの皆さんが繰り広げた熱戦は、私達にたくさんの感動を与えてくれましたね
そんなアスリートのパフォーマンスを下げる一因に「貧血」があります。
健康そうなアスリートが貧血になるとは、ちょっと意外ですよね
実は、貧血と一口に言っても様々な種類や症状があるのです。
アスリートのみならず、汗をたくさんかく夏場は「貧血」に注意すべき季節だと言われています。
そこで今回のブログは、貧血の原因と食事で予防するポイントについてご紹介します。そもそも貧血とは、血液中の赤血球に含まれているヘモグロビンが減少した状態を指します。
ヘモグロビンが減少する原因は大きく分けて2つあるとされています。
ひとつがヘモグロビンの生産量が減少すること、もうひとつがヘモグロビンが破壊されることが原因です。
一般的に「貧血」の症状として知られているのは、貧血の7割を占める「鉄欠乏性貧血」というヘモグロビンの生産量が減少して引き起こされるものです
鉄欠乏性という名前の通り、ヘモグロビンの生成に不可欠な鉄分を、食物から十分に摂取できなかったり、汗をかくことで体外に排出されてしまったりすることで起こる貧血です。
女性の場合は月経による鉄分の喪失も原因のひとつと言われています。
ヘモグロビンが不足すると、身体を動かすのに不可欠な酸素が身体全体に十分に行き届かなくなり、疲れやだるさ、めまいなどの症状が出ます
また、アスリートに多い貧血に、「溶血性貧血」というものがあります。
これは、物理的にヘモグロビンが破壊されることが原因となるものです。
例えば、足の裏に長期間衝撃が加わり、足裏の毛細血管内で大量の赤血球が破壊されてしまうことが原因で、貧血が発症します。
マラソン、剣道、体操など足で強く踏み込んだり、繰り返し足の裏に刺激が加わったりする競技の選手に多くみられる貧血です。
アスリートの場合は、汗などで鉄分が体外に排出される量が一般の人より多いため、「鉄欠乏性貧血」、「溶血性貧血」共になりやすいのです。
ヘモグロビンの数が少なくなると、持久力が低下して競技の結果に影響が出てしまいますので、アスリートにとって貧血は大敵だと言えるでしょう
貧血の予防や改善には、鉄分を多く含む食品を摂ることはもちろんですが、身体が鉄分を吸収しやすくすることもポイントです
鉄分の吸収を良くするには、たんぱく質やビタミンCを一緒に摂るよう心がけましょう
例えばおすすめなのが上記の画像、ローストビーフのサラダ。
牛肉は鮮やかな赤色をしていますが、これは鉄分を多く含んでいるためです。
牛肉や魚介類などの動物性の食品に含まれている鉄分は、身体への吸収が良いヘム鉄が多いのが特徴です。
赤身の牛肉には、良質のたんぱく質が豊富に含まれており、たんぱく質は鉄分と共にヘモグロビン生成の材料になります。
さらに、鉄分はビタミンCやクエン酸を含む食品と組み合わせると、吸収率がアップするので、牛肉を使ったローストビーフとビタミンCが豊富なレタス、トマトとの食べ合わせは貧血予防にオススメの一品という訳なのです。
逆に、コーヒーや緑茶に含まれる「タンニン」という成分や「炭酸」を含む飲料
は、鉄分の吸収を妨げますので、食事と一緒に飲むのは控えると良いでしょう。
また、食物繊維は鉄分の吸収率を低下させるため、貧血ぎみの方は摂り過ぎにご注意下さい
まだまだ汗をかくような暑い日が続きます。
疲れやだるさを感じたら、それは鉄分が不足しているためかも知れません。
日ごろの食事を見直して、貧血を予防するメニューを考えてみてはいかがでしょうか?
さて今回は、鉄分が豊富な赤身の牛肉を使った「ローストビーフ丼」をご紹介します。
ローストビーフは、オーブンで焼く方法ではなく、フライパンひとつで簡単にできるようアレンジしました。
食欲が落ちる時季だからこそ、しっかりお肉を食べて残暑を乗り切りましょう
ぜひお試し下さい