こんにちは、料理家の野上優佳子です。
先日、北海道出身の友人からおみやげをもらいました
見ると「オランダせんべい」と言う名前。
丸形の、ベルギーワッフルをすごく薄くしたような形で、せんべいと言ってもパリッと割れるわけでなく、しっとりしていて、甘いのです。
形は南部煎餅にも似ていて、初めて頂いたのですがなんとも不思議。
でも素朴でおいしい物でした
その話を仕事の合間の休憩中にしたところ、同席していた山形出身の人が「山形にもオランダせんべいがありますよ」と。
しかしそれは塩味の薄焼きせんべいで、似ても似つかぬ物でした
ちなみに、どちらも名前の由来はよく分からないそうです…
実はオランダと日本は文化の強い絆があります。
200年以上続いた鎖国時代であったときも、オランダとは、西洋で唯一国交を持ち続けていました。
「紅毛文化(コウモウブンカ)」とも称され、コーヒー、ビール
、タルタ(タルト)など、私たちが現代では日常的に使う言葉にもオランダ語由来の物がいくつもあります。
実はおてんば、と言う日本語も「ontembaar」(手に負えないの意)と言うオランダ語が起源なのです。
その絆は、食にも見ることができます。
食材を見ると、パセリの和名はオランダセリ、オランダミツバはセロリーのこと、オランダナはキャベツ、オランダマメは絹さやのことです。
西洋由来の野菜の和名には「オランダ」を冠する物が実はたくさんあります。
調理法では、食材を一度素揚げしてから煮る調理法を「オランダ煮」、卵を衣にした魚のソテーを「オランダ焼き」と言います。
特になじみの深い長崎には、ごまの風味を効かせた大根の漬物「おらんだ漬け」なる物もあるそう。
2008年にはオランダとの国交400年を迎えたました。今後ますます距離がぐっと縮まるような気がしますね。
さて今回は、ナスとシシトウのオランダ煮をご紹介します。いわゆる揚げ浸しで、ご飯のお供やお弁当のおかずにおススメ。ぜひお試し下さいね。
こんにちは!料理研家のひろろこと竹内ひろみです。
ひなまつりの季節が近づいてきました
まだまだ肌寒い時期ですが、飾ってある雛人形を見ると春の訪れを感じますね。
現在は、子供の健やかで幸せな成長を祝うために飾られる雛人形ですが、もともと「ひな」とは、女の子が人形遊びに使っていた物だそうです。
時代とともにカタチを変え、現代のように飾る物になりました
子供の身代わりとして事故や病気から守ってくれる人形と言う意味があり、現代では長い間身近に置くことはせず、節句が終わるとすぐに片付ける風習が根付いています。
これは平安時代に厄除けの「守り雛」を川に流した「流し雛」の風習や、人形や絹製の細工物に虫喰いやカビが生えないように早く片付けたほうが良いこと、けじめを持たずにだらしなくしていると嫁の貰い手も現れないといったしつけの意味があったことからだろうと言われています。
そんなひなまつり、なくてはならないものがひなまつりの行事食
ひし餅の、赤は「桃」を、白は「雪」を、緑は「草」を表していて、季節の様子を表現しており、ハマグリなどの貝類はペアになっていることから、良縁の象徴としてお吸い物などに使われますね
子供たちが大好きなひなあられは、外出先でひな遊びを楽しむときに持って行くための携帯食料が由来になったようです
さて今回ご紹介するレシピは、子供も楽しく作れる「おひなさまいなり」です
お子様がいるおうちでは、一緒にクッキングをすることも少なくないと思います。
しかし小さなお子様だと、刃物をもたせるのは怖いし、難しいことをお願いすることもできないのでやらせてあげることが少ないことも
そんなときに子供でも楽しめるのが、自分でオリジナルの味付けや、飾り付けができるお料理
例えば、ちらし寿司の場合は最後にのせる卵やいくらなどの飾りの具を、好きなようにやらせてあげると子供たちの満足度がアップします
また、子供たちが好きそうな具材をいくつか揃えておいて、小さな器に盛り付けたすし飯の上に飾ってもらっても良いですね
最初から一緒にお料理をする……となるとなかなか難しいとは思うのですが
最後の飾り付けやトッピングのせなど、一部分をやってもらうだけでも
子供たちはけっこう満足してくれて、自分が作った物は食べてくれるのでおすすめの方法ですよ
こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。
韓国料理にも、食べる物は薬になると言う『薬食同源』の考えが根付いていて、それを象徴する料理があります。
甘いおこわの『薬食(ヤクシク)』です。
おこわですが、食事よりもデザート感覚で頂く物です。
歴史が非常に古い食べ物で、伝説にも登場します。
新羅時代の488年、第21代の王の命が狙われる事件が起こり、王様が鳥、ネズミ、豚に救われました そこで、正月の最初に迎える亥、子、午日は厳かに過ごし、さらには午日である旧暦1月15日には、黒いおこわを作って鳥に捧げたと伝えられています。
旧暦1月15日はテボルムと言います。一年で最初の満月の日を祝い、その年の無病息災と豊作の願いを込めて催す行事で、韓国では重要な節日です。
そして、現在でもテボルムに作るものが「薬食」です。または、薬飯(ヤクパプ)とも言います。
新羅時代は、ご飯に鳥の好きな「なつめ」のみ入っていましたが、今ではしょうゆ・黒砂糖・栗・松の実・ゴマ油・シナモンなどが入り、漢方食材をふんだんに使った豪華な物になりました
ここで、二つの漢方食材の効能をお伝えしますね。
なつめ
中国では「1日3粒なつめを食べると歳を取らない」ということわざがある程、老化予防に良いと言われています。
干しなつめは、鉄分、カリウム、カルシウム、食物繊維が豊富。気と血を補強するので、胃腸などの機能を調え体調を改善させてくれる上、血を増やすので貧血にも良く体に潤いを与え、さらには精神を安定させる。体を温める働きもあるので冷え性予防に良く、利尿作用によりむくみを改善する。
そんな効能から、韓国の医学では「大棗(たいそう)」と言う生薬として使用しています。
シナモン
シナモンの生薬名を、桂皮(ケイヒ)と言います。
桂皮はクスノキ科トンキンニッケイや同属植物の樹皮を乾燥した物。身体を温める働きに優れています。冷え性で体力が落ちている場合、桂皮を摂取すると血液循環が良くなり、身体の機能を高めます。特に胃や下腹部に働きかけるので、食欲不振を改善し、生理痛の痛みを緩和します。
薬食は、名前の通りまさに薬になるご飯ですね
もちろん本日のレシピは『薬食』 。本来は蒸し器で作りますが、炊飯器で簡単に作れる方法をお伝え致します
こんにちは、料理家の野上優佳子です。
新年を迎え、2週間あまり。
明日からいよいよセンター試験開始です
受験生のいる我が家は、お正月気分は早々に吹き飛んでいますが 皆さんはいかがお過ごしですか。
明日はちなみに、『おむすびの日』 でもあります。
おむすびの歴史は平安時代以前から、干飯(ほしいい)・握り飯として旅人の携帯食であったことが文献に残っています。
ところで皆さんは、「おむすび」と「おにぎり」、どちらで呼びますか?
私は「おにぎり派」です。
よく「おむすび」と「おにぎり」はなぜ呼び名が違うの?と話題になりますが、日本おにぎり協会によれば・・・おむすび
神の力を授かるために米を、山型(神の形)にかたどって食べた物三角形
おにぎり
「にぎりめし」が転じた物 どんな形でも良い
・・・との説が濃厚だと解説しています。
神の力、というのは古事記に登場する三柱の神様の名前に「産巣日(むすび)」という共通語が含まれており、自然に神が宿ると考えて自然の恵み溢れる山 が神格化されていたことと相まってその説が一般化したものと思われます。
ちなみに、平安時代に貴族が宴を開く際、従者などには、強飯(こわめし※おこわ)を卵形に固めた物が支給され、これを「つつみぐい」と読んだそう。このつつみぐいが結び固めて作っているために、仕える女房たちが「おむすび」と呼んだと言われています。
一方、南北朝時代の官吏が記した日記 には「ニギリタルメシ」と記載があり、一般的に「握り飯」という呼び名が普及していることがうかがわれ、これが「おにぎり」に変化したとも言われています。
その呼び名のルーツは様々ですが、今も昔も、私たち日本人の食文化にとても大きな存在であり続けることは確かのようです。おにぎりって、本当においしいですよね。
さて今回は、うるち米ともち米をブレンドした『鶏ゴボウ飯』をご紹介します。
鍋で炊く、炊き込みご飯ですが、冷めてもおいしいので、おにぎりにもピッタリ!
鶏肉とゴボウのシンプルな組み合わせですが、そこから出るだしは抜群に美味!ぜひお試し下さいね。